織田裕二が主演を務める連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の第3話が22日に放送され、平均視聴率は前回から0.8ポイント減の10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。同作は、アメリカで大ヒットした『SUITS』を原作とした弁護士ドラマ。

勝つためには手段を選ばない敏腕弁護士・甲斐正午(織田)と、驚異的な記憶力を持つが弁護士資格を持たない鈴木大貴/大輔(中島裕翔)がバディを組み、数々の案件を解決していく。

 第3話は、老舗時計メーカーの創業家と経営陣の対立がテーマ。次期社長就任が確実視されている安樂孝志(久松信美)は、急死した前社長の遺志を無視し、工場を海外に移そうとしていた。同社の顧問弁護士を務める甲斐は、前社長の路線を踏襲しない安樂を会社から排除し、職人一筋でやってきた工場長を新社長の座に据えるべく奔走する――という展開だった。

 視聴率こそ1桁目前まで下がってしまったが、3話目にしてようやくドラマとしてうまく回り始めた感じがある。鈴木が第2話で悪友と絶縁したことで人間関係がスッキリし、「バディもの」としてだいぶわかりやすくなった。
織田の演技も、当初は『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)で演じた法門寺沙羅駆(ほうもんじ・しゃらく)のクセのある話し方をいまだに引きずっているように見えたが、今回はだいぶ改善され、甲斐という人間のオリジナリティーが出てきた。法律を駆使して逆転に次ぐ逆転を繰り広げるストーリーも、弁護士ドラマの王道といえよう。

 それだけに、安樂側に付いたライバル弁護士・蟹江貢(小手伸也)が「解雇には30日前の予告が必要」という常識レベルの労働基準法を知らなかった、もしくはすっかり忘れていたというオチはいただけなかった。せっかくの緊迫した応酬が台無しである。もう少しまともな脚本が書けないものだろうか。

 また、ねっとりして少々気持ち悪いキャラに設定されていた蟹江が、実はゲイだった――と思わせる描写も、どうかと思う。
今回登場したIT社長・藤ヶ谷樹(柳俊太郎)が「キモイよね、あいつ」とはっきり口にしたことで、制作側として意図的に“キモキャラ”として描いていることが明確になった。

 蟹江が気持ち悪いのは別にかまわない。それはドラマ上の人物設定だからだ。だが、ラスト近くで藤ヶ谷が明かしたことによれば、ジムで蟹江と知り合ってスパーリングした際、彼は藤ヶ谷の耳の中に舌を入れてきたのだという。ドラマの中では軽い笑いのようにしてこの話題を済ませていたが、よく考えると「蟹江がなんとなく気持ち悪いのはゲイだから」と言っているようなものだ。LGBTに対する差別と受け取られかねない表現が、今どきよく内部で通ったな、と思う。
この「蟹江=ゲイ」と思わせる設定が、LGBT差別に関する訴訟案件などの伏線になっていたら少しは許せるが、フジテレビはそこまで考えているのだろうか。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)