アベノミクス、逆回転の兆候…GDPも貿易収支もマイナス、10月の消費増税に暗雲

 日本電産の業績の下方修正発表と、会見での永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)の発言が波紋を広げている。

 1月17日、日本電産は2019年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終利益の見通しを従来に比べ350億円少ない1120億円(前期比14.4%減)に引き下げた。米中貿易摩擦の影響による中国経済の減速で、モーターなどの販売が想定を下回っていることが要因だ。

 都内で記者会見した永守氏は「昨年11~12月の受注、売上ともに落ち込みが尋常でなかった。46年間経営しているが、月単位でここまで落ちたのは初めてだ」と述べた。

 先行きについては「さらに悪化していくかどうかはわからない」と明言を避けたが、「この変化を甘く見てはいけない」と、中国経済減速への懸念と危機感をあらわにした。

 かつては「アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われたものだが、今は「中国がくしゃみをすると日本が……」と言う時代になってきている。

 その後、いくつかの経済指標が発表されたが、いずれも日本経済の先行き不安を予兆させるようなものばかりだ。

 それにもかかわらず、10月に予定されている消費税率10%への引き上げについて安倍晋三首相は「現在のところ引き上げられる環境にある」と強調しているが、本当に大丈夫なのか。米国や中国経済の減速、東京五輪特需の終焉など不安材料は尽きない。

 足元の日本経済はどうなっているのか。いくつかの経済データをチェックしてみよう。

●貿易収支は3年ぶりの赤字、12月の対中輸出は7%の大幅下落

 まずはGDP(国内総生産)。昨年12月10日に内閣府が発表した18年7~9月期のGDP改定値は速報値から下方修正され、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算で2.5%減となった。個人消費や輸出が低迷したうえ、設備投資が前期比2.8%減と、速報値(0.2%減)から大幅に落ち込んだ。

 GDPのマイナス成長は2四半期ぶりで、下落幅は消費税が8%に引き上げられた14年4~6月期以来、4年3カ月ぶりの大きさだ。

 1月23日に財務省が発表した18年の貿易統計(速報、通関ベース)も厳しい結果だった。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆2033億円の赤字だった。赤字は3年ぶりだ。同時に発表された12月単月も552億円の赤字。最大の貿易相手国である中国向け輸出が1兆4026億円(7.0%減)と大幅に下落した。通信機67.1%減、半導体等製造装置34.3%減、電気回路等の機器25.7%減、音響・映像機器の部品20.3%減と携帯電話関連の落ち込みが目立つ。中国からの輸入は1兆5970億円(6.4%減)で、こちらも大幅減だ。

 アジア全体の輸出入は、輸出が3兆8292億円で6.9%減。輸入は3兆2859億円で2.9%減。最大のマーケットであるアジアとの貿易全体の落ち込みは大きな懸念材料だ。

●百貨店売上高は2年ぶりマイナス、スーパー売上高は3年連続マイナス

 内需はどうだろうか。日本百貨店協会が1月23日に発表した18年の全国百貨店売上高は5兆8870億円で、既存店ベースで前年比0.8%減と2年ぶりのマイナスだった。インバウンド(訪日外国人客)に人気の化粧品が9.5%増と好調だったが、夏場以降の自然災害による消費意欲の落ち込みが響いた。12月単月は6805億円で0.7%減。2カ月連続の減少となった。

 スーパーマーケットは3年連続のマイナスだ。日本チェーンストア協会が1月22日に発表した18年のスーパー売上高は12兆9883億円。既存店ベースでは前年比0.2%減だった。12月単月は1兆2941億円で0.7%減で、3カ月連続のマイナス成長だ。

 唯一プラスとなったのは、コンビニエンスストア。日本フランチャイズチェーン協会が1月21日に発表した主要コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで9兆7244億円で前年比0.6%増。2年ぶりのプラスとなった。12月も好調で前年同月比1.2%増の8741億円(既存店ベース)と2カ月連続の増加。

 18年の首都圏のマンション発売戸数は、前年比3.4%増の3万7132戸(不動産経済研究所の発表)。ただし、発売月に契約が成立した物件の比率は、前年から6.0ポイントダウンの62.1%。売れ行き好調の目安とされる70%を3年連続で割り込んだ。

 新車販売は前年比0.7%増の527万2067台と2年連続の増加だった(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の発表)。もっともプラスになった要因は、軽自動車人気。軽は192万4124台と前年比4.4%増で、過去5番目の高い伸びとなった。一方、普通・小型車は1.3%減の334万7943台と3年ぶりのマイナスだった。国内の新車販売は相次ぐ検査不正やゴーン事件の影響もあり、先行きは不透明だ。

 こうしてみると、内需はまちまち。力強さはどこにも見当たらない。百貨店は衣料品の販売不振から、この冬2回目のセールを開催するありさまだ。

 貿易も内需もパッとしないなかで、厚労省の統計不正問題が発覚し、政府統計の信頼性が大きく揺らぎ、アベノミクスの“成果”に疑問符が付けられている。米中貿易摩擦の影響を受ける日本経済の先行きに対する不安感も強まる一方だ。

 そんな状況のなかで、10月の消費税率引き上げは本当に「できる環境にある」といえるのだろうか。徹底した議論が必要だ。
(文=山田稔/ジャーナリスト)

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