福島空港からJR泉郷駅まで歩いてみた!街灯もない山道を5キロ弱、山中に突如場外舟券場

 福島空港は1993年に開港した、比較的新しい空港だ。1999年より国際線が就航し、2000年に滑走路が2000mから2500mへと延長されたが、乗降客数は1999年度の約75万人をピークに、減少の一途。2018年の乗降客数は約27万人と、約三分の一まで落ち込んだ。全国85の空港のうち49位で、離島以外の空港としてはかなり少ない数となっている。

 最大の理由は、ドル箱である東京便が設定されていないこと。距離が近すぎるうえ、東北新幹線が併走しているため、需要がほぼ存在しない。福島県内の主要都市である福島市や郡山市からは、東京まで新幹線で1時間~1時間30分程度だ。

 他地域への便も、2009年に日本航空が全面撤退し、2011年には東日本大震災の影響もあって国際線の定期便もなくなった。現在は札幌・新千歳便が1往復、大阪・伊丹便が4往復と、国際線のチャーター便が残るのみとなっている。

 そもそも福島空港は、立地面に問題を抱えている。「福島空港」という名のわりには福島市からは遠く、仙台空港のほうが利便性が高い。郡山市からもアクセス良好とはいいづらく、他県からの需要も見込み薄と、苦境に立たされている。

 中途半端な立地の理由は、計画された1970年代後半には福島県と北関東一帯が航空輸送サービスの空白地帯だったこと。当時は現在の圏央道や外環道もなかったため、羽田空港成田空港へは都心を横断して行かなければならなかった。仙台空港も滑走路の長さが2000mでアクセス鉄道も存在せず、使い勝手がいいとはいえなかったのだ。

 だが、高速道路の開通と茨城空港の開港でそうした不便さも今では解消されてしまったので、今後は北関東からの需要は見込みづらい。常磐道や磐越道の開通で、福島県内の需要すらも仙台空港や新潟空港にますます取られかねない。

 福島空港が活路を見いだせるとすれば、貨物便だろう。東日本大震災後に物資の輸送拠点として活躍した実績から、24時間運用している関西国際空港を経由して国際輸送するルートが注目されているのだ。関西国際空港も活用の方法が模索される中、貨物のハブ拠点としての構想を練っている。

 需要が逼迫している成田空港や仙台空港、自衛隊と共用の茨城空港といった近隣空港に比べ、福島空港は運用に余裕がある。幸い、福島空港へはあぶくま高原道路というアクセス道路が隣接しており、東北道だけでなく磐越道から常磐道方面へもスムーズに向かえる。トラックが集結するには便利な環境なのだ。

 さて、周辺道路が整備されているということは、福島空港へのアクセスは車が基本となる。2300台分という広大な無料駐車場が確保されており、運転できる人には非常に便利といえる。

 一方で、公共交通機関は郡山駅からのリムジンバス一択といった状況だ。空港のホームページには会津若松といわきからの案内も出ているが、いずれも郡山駅で乗り継ぐというもの。特にいわきからのバスは1時間近く乗り継ぎ待ちをする便もあって、現実的とはいえない。

 郡山駅より近いJR水郡線の各駅や、矢吹や須賀川、白河など東北本線の各駅への路線バスは一切存在しない。乗合タクシーが案内されているが、予約制であり、1人で利用するにはあまり現実的ではなさそうだ。

 今回は郡山駅からリムジンバスで空港へ向かい、最も近い水郡線のJR泉郷駅へと歩いてみた。実践したのは2018年12月中旬。ようやく東北に雪が舞い始めた頃で、積雪はなかった。

●福島空港からJR泉郷駅まで、約4.6kmを歩く

 福島空港のターミナルビルは、地方空港らしいコンパクトな建物。飲食店や物販店、キッズスペースやラウンジなど、一般的な設備は整っている。当日は国内線の出発ロビーがある2階で、県内物産の販売イベントも行われていた。

 何よりインパクトが強かったのは、驚くほどの「ウルトラマン」推し。生みの親である円谷プロダクションの創設者・円谷英二さんが、空港からほど近い須賀川市の生まれということで、コラボレーションしているようだ。

 空港の外に出ると、正面の丘陵地に大きな公園が広がる。「福島空港公園」。空港を一望できる展望台のほか、春には桜が、秋には紅葉が楽しめる広場のほかに日本庭園もあって、かなり大規模な公園なのだが、当日は冬。魅力をほとんど味わえなかったのが残念だった。

 公園を左手に南下し、最初の信号を右手に曲がると、滑走路の下をくぐるトンネルが出てくる。これを抜け、下り坂を10分ほど進むと、右手に真新しい道の駅が見えてきた。「道の駅たまかわ」は2006年にオープン。そば処や産直所などがある。

 一休みしながら、道の駅の中をうろうろしていると、裏手になにやら大きな建物がある。工場にしては豪奢な建物で、パチンコ店や冠婚葬祭場という雰囲気でもない。ぐるりと回って向かってみると「ボートピア玉川」という看板が。ボートレースの場外舟券場だ。

 山の中に突然現れた場外舟券場からは、ちょっと異様な印象を受ける。ただ、周辺は道路も整備されているし、近隣に迷惑をかけることもない。立地としては適した場所なのだろう。

 せっかく来たので、「ボートレースからつ」で行われているG1レースの「ダイヤモンドカップ」を、1レースだけ買ってみることにした。結果はハズレ。やはりなんの準備もなしに当てられるほど甘くはないということだ。

 ボートピア玉川を出て、しばらく南下していくと、道路沿いに「長命清水」という湧水ポイントがあった。竿の先から水が出ているというシンプルなものだが、車で汲みに来ている人もいて、人気のスポットのようだ。名前の通り、この清水を飲むと長生きするという。甘みがあって、まろやかな水だった。

 さらに南下し、最初の交差点を右に曲がる。ここまではひたすら山の中を下ってくる感じだったが、民家がちらほら見え始めるとともに、右手に湖が広がってきた。中池公園という名のようで、春は桜が、秋は紅葉が美しいそうだ。

 住宅地の間をさらに下っていくと、目的地である泉郷駅に到着。距離は約4.6kmだったが、行程のほとんどが下り坂だったため、疲労感は少ない。所要時間は正味1時間10分ほどだった。

●JR泉郷駅周辺には、何もない

 さて、問題は駅に着いてからも残っていた。泉郷駅を通る水郡線は、茨城県の水戸駅と郡山駅を結ぶローカル線。上りは1日9本、下りは10本しか列車が来ない。日中は、郡山方面の列車が2時間50分ほども間隔の空く時間帯もある。

 国道118号が駅の前を通っているが、近隣に飲食店はなく、コンビニが1軒あるくらい。徒歩10分ほどの距離にある玉川村役場まで行ってみたが、この近くにもカフェなどはなかった。空港からのバス路線が存在しないのも、納得せざるを得ない。

 福島空港から泉郷駅までは、歩くこと自体はそれほど大変ではない。ただし積雪時や夜間など、条件の悪いときは絶対に避けたほうがいいだろう。道中の7割ほどが、街灯もない山の中。万が一のことがあった場合、リスクが高すぎるからだ。泉郷からの列車の時間も十分に考慮する必要がある。

 道中は自然いっぱいで、けっこう楽しかった。ただ、完全に季節を間違えた。桜の咲いた春や、紅葉が楽しめる秋ならば、どれだけ楽しかったことか。せめて木々が美しい夏に行けばよかったと思う。
(文=渡瀬基樹)

●渡瀬基樹(わたせ・もとき)
1976年、静岡県生まれ。ゴルフ雑誌、自動車雑誌などを経て、現在はフリーの編集者・ライター。自動車、野球、マンガ評論、神社仏閣、温泉、高速道路のSA・PAなど雑多なジャンルを扱います。

あわせて読みたい

気になるキーワード

ビジネスジャーナルの記事をもっと見る 2019年6月18日の社会記事
この記事にコメントする

\ みんなに教えてあげよう! /

次に読みたい関連記事「静岡県」のニュース

次に読みたい関連記事「静岡県」のニュースをもっと見る

次に読みたい関連記事「青森県」のニュース

次に読みたい関連記事「青森県」のニュースをもっと見る

次に読みたい関連記事「大分県」のニュース

次に読みたい関連記事「大分県」のニュースをもっと見る

新着トピックス

社会ニュースアクセスランキング

社会ランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

国内の人気のキーワード一覧

新着キーワード一覧

このカテゴリーについて

国内に起きた最新事件、社会問題などのニュースをお届け中。