【特集:伝えておきたいブルースのこと】㊿生きているブルース

【特集:伝えておきたいブルースのこと】㊿生きているブルース

 90年代に次々とカムバックしたブルースマンたちの多くは世を去り、まだ健在の人たちも高齢化が進んでいる。CD全盛期はずいぶん前に去ってしまい、ブルース関連のリリース量も減った。悲観材料はいろいろあるけれど、それでもブルースは死なない、という思いが強い。

 2014年9月にアメリカ南部ミシシッピ州グリーンヴィルを訪れた。そこで行なわれた野外ブルース・フェスティヴァルで黒人たちはソウル・ブルース・シンガーたちのステージを家族で一緒に楽しんでいた。彼らを見ていたら、極東の国で「ブルースはもうだめだ」などと口にすることの無意味さを思い知った。南部の黒人の間ではブルースはそこにあるべきものとして、存在していた。生活の一部のように根付いていた。それを確認できたことが、うれしかった。

 一方で、市場に現れるパッケージ化されたブルースに危機感をおぼえることもある。バディ・ガイの2013年作『リズム&ブルース』は注意が必要なアルバムだ。実績のある高齢ヴェテラン・ブルースマンの健在ぶりを見せつけるアルバム、というのが世間の評価だった。ギター・ミュージックを聴きたい人はおおいに満足したことだろう。しかし優れたブルースが有する奥行き、つまりはそこから透けてみえる社会や文化や風俗や精神が、近年のバディの作品からはすっぽりと抜け落ちてしまっているように、私は感じる。ギターを前面に出した作品にこの種のものが多いようだ。

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