驚きの結末+書きおろしの蘇部健一『小説X あなたをずっと、さがしてた』

 近年の出版業界においては、本を売り出す際に従来とはまったく違う宣伝方法が展開されるようになってきている。昨年たいへん注目された『ルビンの壺が割れた』(新潮社)はその好例。発売前に全文がネット上で公開され、読者からキャッチコピーを募るというものだった。結果、6015本のコピーが集まったとなれば、宣伝効果は上々だったであろう。

 『小説X あなたをずっと、さがしてた』も、同様に発売前に全文がネットで公開された。募集するのは小説のタイトル。作品の顔ともいえる部分を読者に決めてもらうというのだ。これってもしかして丸投...読者を信頼しているからこその決断ということだろうか。ちなみに「小説X」というタイトルから、盛岡のさわや書店の書店員が仕掛け人となられた「文庫X」のエピソードを思い起こす読者もおられるだろう。「どうしてもこの本を読んで欲しい」という書店員の方の思いが綴られた特製カバーがかけられて、内容どころかタイトルさえわからない状態で店頭に並んだ「文庫X」。明かされているのは価格と"小説ではない"という情報のみであるにもかかわらず、「文庫X」が驚異的な売れ行きをみせたことは記憶に新しい。きっと「小説X」を売り出すにあたって、「文庫X」に乗っか...インスパイアされたところはあると思う。

 『あなたをずっと、』は、ごく平凡な朝の情景から物語が始まる。朝霞台にある女子大に通う奈子は、大学への通学途中の橋の上でひとりの若者と出会う。その日に奈子が着ていたお気に入りのミニーマウスのTシャツと対になるようなミッキーマウスのトレーナーを、彼は身に付けていた。それでなくても恥ずかしいシチュエーションであるのに、彼が驚くほど整った容姿をしていることに気づいて頬を染める奈子。その後も何度か彼とすれ違ううちに芽生えた恋心を、奈子はバイト仲間で親友の葵に打ち明ける。すると、葵は奈子が彼と知り合えるよう協力すると申し出た。葵は独自にリサーチを進め、持っている教科書などから彼が大学生ではないかと予想を立てる。学年末で大学が休みに入る前に、奈子が彼をデートに誘う段取りを考える葵。しかし決行の日、彼はいつもの橋の上に姿を見せなかった...。


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