鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!

鈴木るりか『太陽はひとりぼっち』を先入観なしで読むべし!
『太陽はひとりぼっち』鈴木 るりか 小学館

 「そんなこと、○○しなくたってわかるだろ」というのは、概ね些細なものと相場が決まっている「○○する」手間すら省きたい横着者の言い訳に他ならない。「愛してるなんて言わなくたってわかる」という相手とはしばしば大げんかに発展しがちだしし、「説明書なんて読まなくたってわかる」と言って設置した電化製品はだいたい動かず、「メモなんてしなくたってわかる」と油断した買い物は忘れる。

 そこで、『太陽はひとりぼっち』である。というか、シリーズ前作『さよなら、田中さん』である。「子役は大成しない」というのもまた手垢がついたようなもの言いであるが、10代でデビューしたような作家たちにもまた当てはまるものだと思っていた。だから鈴木るりかさんが『さよなら、田中さん』で中学2年生という若さでデビューされたとき、私はうかつにも各方面からあがった絶賛の嵐をスルーした。しかし、評判になるものにはそれだけの理由があるということを我々は知るべきだ。鈴木さんの文章は、『中学生にしてはうまい』などというレベルのものではなかったのだから。

 『さよなら、田中さん』は、小学6年生の田中花実が主人公の連作短編集。母ひとり子ひとりの生活で、お母さんは工事現場で働いている。型破りなおかあさんに対して時に呆れつつ大切に思う気持ち、裕福な家庭のクラスメイトへをうらやましく思いながらも自分の境遇を前向きに受け止めようという姿勢、自分の父親がどんな人間だったのかを知りたかったり知りたくなかったりする複雑さなどなど、実に細やかな描写力に唸らされた(さらには、ハイレベルなユーモアのセンスも見過ごせない)。しかも、収録作品の「いつかどこかで」は小学6年生時、「Dランドは遠い」に至っては小学4年時の「12歳の文学賞」受賞作品がもとになっているというではないか!


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