《前編》メディアの異常なタモリ礼賛を考える
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『ケトル VOL.16』[大型本](太田出版)
国民はタモリを求めてなかった?

 ついにというか、やっとというか、あの黒メガネが「お昼の顔」の座を後進に明け渡してくれるとか。重い漬物石のせいで発酵が進みすぎていたお笑い業界も、これで新鮮な空気を取り入れることができるようになる。そういう意味ではいいことだ。
 1982年から32年もの間、放送し続けてきた『笑っていいとも!』が2014年3月をもって終了。単独司会者による生放送番組としてギネスにも登録されるほどの長寿番組であったことは、「お疲れさまでした!」のひと言なのだが、逆を言えばここまで長く放送し続けるほどの番組だっただろうか?

 実際、視聴率のピークは80年代の後半で、近年はなんとか5~6%を維持するのがやっとの状態。同時間帯でも、TBS『ひるおび!』や日本テレビ『ヒルナンデス!』に遅れを取る日が多数。1日のギャラが150万円とも噂されるタモリをはじめ人気タレントを多数揃えてこの結果では、もっと早く打ち切りにならなかったのが不思議なぐらいだ。『いいとも』終了はフジテレビ社員はもちろん、実は多くの国民が望んでいた既定路線なのだ。
 5%前後という視聴率が、人気や注目度の低さを如実にあらわしていたのに、終了が決まった途端、急に「国民的人気番組」だの「ギネス級お化け番組」だのと持ち上げるのが、世間のおかしなところ。特に司会を務めてきたタモリを手放しで褒め称えるメディアが多すぎて、かなり不自然に感じてしまう。