>>>前編より

礼儀正しさで仕事が増えた村上和成

 村上和成は「平成のテロリスト」というニックネームを持つ、狂気に満ちあふれたヒールレスラーだ。村上が注目を集めたのは、橋本真也と対戦を繰り広げていた小川直也のセコンドについてから。

目は血走っており、レフェリーがブレイクを命じてもいつまでもパンチや蹴りを打ち続けるなど、ラフファイトに徹するのがスタイル。しかも会場に入る前の橋本を駐車場で襲撃するなど、プロレスファンに「こいつは本当に狂ってるんじゃないか?」と思わせるオーラを漂わせていた。
 そんな「狂乱レスラー」の印象を誰もが持った矢先、プロレスラーが新年の抱負を順に語っていく『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日)の企画が放送された。画面に登場した村上は満面の笑顔で「今年は僕も頑張りますので応援してください!」さわやかに語った。
 雑誌で村上と対談した北斗晶は、村上の礼儀正しく誠実な振る舞いに感動し「プロレスラーにしておくのはもったいない。国会議員になったほうがいいんじゃないか」と発言したほど。
この対談がきっかけで、佐々木健介の興行に参加することにも繋がった。しかし村上は試合後のインタビューで「健介はゴミ以下」と、目をひんむいて罵倒。この落差はいったい……。
 ブログには優しいお父さんとして子育ての様子を綴っている村上。しかしブログのプロフィール写真には、当然あの「狂気顔」が使われている。

実は甘いものに目がない真壁刀義

 新日のデスマッチ王、独裁コング、などと呼ばれる真壁刀義。

金髪でとにかく顔が怖い。鎖を首から下げて入場し凶器として使う。イスなどで殴りかかって流血試合になることも多い。典型的な「凶暴系」のヒールだ。
 しかし最近では「スイーツ真壁」として知名度が上がってきている。甘いもの好きの真壁は、『スッキリ!!』(日本テレビ)のスイーツ紹介コーナーにレギュラー出演している。
ちなみに学生プロレス時代は、そのスイーツ好きから「プリン真壁」というリングネームで活動していた。
 真壁が岡山県の幼稚園を訪問した様子が、ニュースで放送されたこともある。首に鎖を下げたまま、幼稚園児たちと滑り台で遊ぶ真壁の姿はまさに異様だった。
 ヒールレスラーは悪役を演じるプロであり、名ヒールであればあるほど、私生活とのギャップに一種のユーモラスさがにじみ出てくるようだ。

(文・編集部)

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