客が帰らない! 地獄のカウンター

 ラーメン店に普段はラーメンを食べないようなカジュアルな初心者が多く出入りするようになって、都心部のとある店の店主は心を傷めている。

 というのはカウンターで満員であるにも関わらず、それらの客は「食べても帰らない」からだ。

いわゆる長っ尻でカウンターを占領する人々。店主によれば、これが今非常に増えているのだそうだ。

 一例をあげる。都心の某コの字カウンター店舗。女子大生2人が、食べ終わって既に水すらない状態からサークルの会話が盛り上がり約20分。先に出た客に店員が「ありがとうございましたぁ~」と言いながら、視線でこちらの客の退店を催促しても、他人事として捉えて席を立たない。

スマホも見始め、盛り上がる一方。食べ慣れないのか、常識がないのか。喫茶店的な利用の仕方なのだ。

「あちらにお客様がお待ちですので…」と言ってやっと理解できたようだが、ラーメン店のカウンターは回転率勝負。ファミレスではないのだが。同じような行為は、最近ラーメンに目覚めた郊外の主婦層にも多く見られるという。

前述の店主はこう話す。

「それでも郊外なら空いてるから、まだいいんですよ。都心では家賃が高く、店も狭い。いつまでもどうでもいい会話をされるとマジ迷惑行為ですし、店員のモチベーションもだだ下がりますね」(前出の店主)

 しかし、それよりも増えているのが、サラリーマンのスマホ没入なのだそうだ。といっても普通にオフィス街ではよく見られる光景だが、どこが問題なのだろうか。

「特にゲームをして待つお客さんは画面に意識が行ってしまい、カウンターの向こうからどんぶりを出しても何も聞こえてないし見えていないことがある。

しまいには、カウンターに置いた後も、すすってもくれません」(別のラーメン店員)

 ラーメン店の大半は、茹で上がるまでの待ち時間についてはスマホに寛容になっている。だが、出した後もラーメンを食べてくれないなら、出て行ってもらいたいのが店員の本音だろう。最近はネットで「すすり音」によるヌードルハラスメントが話題になったりしているが、みなさんも、ご自身のラーメンのマナーを、今一度見直してみてはいかがだろうか。

(文・ペヨピバヒソド西)