4本目・『ゴースト刑事』その2:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載8

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「ゴースト刑事」※こちらはVHS版

杉作J太郎の
DVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画

4本目その2・『ゴースト刑事』

 蟹江敬三さんの初主演作品ということで『ゴースト刑事』は制作発表記者会見が行われた。
 私はアルバイトニュース、当時はもうデイリーアンと言ってたのかな、そこで俳優インタビューの連載を持っていた。
 蟹江さんにお会いできたのはそのときの一度だけだがたいへん強烈な印象として残っている。
 役柄と正反対なのだ。
 あまりにも正反対なのだ。
 蟹江さんの当時の役柄といえばなんといっても『Gメン75』の有名犯人、殺人鬼・望月源治があるが。望月源治まで行かずともまあ兇悪な犯人の役が多かった。そういう役を演じるとき、蟹江さんは追いつめられたような、それでいて開き直ったような演技をよくされていた。その評判がよかったのだろう。犯人でない役のときも、追いつめられた末に開き直ったような、押しの強い演技が持ち味であったように思う。仕事を依頼する側は、なにかで蟹江さんのそういう芝居を見て、ああ、いいなあと思って依頼するのでいちどなにかが受けると続くことは続く。映画やテレビに出ている人はたいていこの傾向があるのだ。
 だがお会いした蟹江さんはソフトであった。記者会見の後に単独取材の時間をいただいたのだが蟹江さんは耳たぶまで真っ赤になっていた。控えめな恥じらいの人であった。
「赤面症なんですよ」
 テレビや映画で見たことのない朴訥とした、それでいてはっきりしたやさしい雰囲気で蟹江さんはそう言われた。忘れられない。
 のちに蟹江さんはグッと演技の幅が広くなり(もともと舞台とかではいろいろやられていたと思うがテレビや映画ではいろいろな仕事がなかなか来なかったのであろう)素朴だが意志の強いやさしい役を演じることも多くなった。その蟹江さんが私が取材したときの蟹江さんに近い。
『ゴースト刑事』は無念の死をのりこえた刑事がゴーストとなり悪を追いつめる物語であった。ゴーストといっても幽霊と言うよりはゾンビに近い。殺されても殺されても死なないのだ。車に轢かれても轢かれても蟹江さんは立ち上がる。
 そういう意味では善悪の差こそあれ不屈の殺人鬼・望月源治に近い部分はある。もしも望月源治が悪でなく善の側だったら。そんな意味合いも僅かながらあったのかもしれない。
 それぐらい望月源治という犯人は有名だった。
 私はプロレスの仕事を何年かしたが、そのとき、エースだったハヤブサ選手と初めてプライベートの会話をしたのが望月源治について、だった。もしかしたらプライベートではなくプロレスの話の延長だったかもしれないが望月源治の話題を。蟹江さんの話題を出したのはハヤブサ選手からであった。おそらく、長々と自己紹介するより自分もテレビドラマや映画が好きなんですよと私に示すため、最良のものとしてハヤブサ選手が選んだのが望月源治だったのだと思う。事実、その瞬間を境に、ぐっと距離が近くなった気がした。
 蟹江さんにとっては犯人役の多い時代の最期の作品になるのかと思う。
 レンタルビデオ全盛時。テレビや映画をビデオにするのではない、誰もまだ見たことのない、テレビや映画では見ることのできない話題作。それがまさに『ゴースト刑事』だった。
 レンタル屋というシステムが残るならば、そのレンタル屋っぽい、レンタル屋ならではの作品としてぜひ残したい作品である。


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