池上彰氏「“ふだんは何の役にも立たないが、状況が悪化すると実につらい”国家機関とは?」

 池上彰さんの連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!


■【参議院・さんぎいん】

 盲腸のようなもの。ふだんは何の役にも立たないが、状況が悪化すると実につらいことになる。


■【池上さんの解説】

 盲腸は、ふだんは何の役にも立ちませんが、盲腸炎つまり虫垂炎になると、七転八倒。大変苦しい思いをします。参議院も、ふだんはあまり存在感を示せませんが、与党が過半数を取れないと、内閣は困ってしまうのです。


 国会にある衆議院と参議院。法案は両方の院で賛成多数で決議しなければ成立しません。ですが、総理大臣の指名選挙や予算案など重要な案件で衆議院と参議院の判断が分かれた場合は、衆議院の判断が優先します。これを「衆議院の優越」といいます。


池上彰氏「“ふだんは何の役にも立たないが、状況が悪化すると実につらい”国家機関とは?」

 しかし、参議院で与党が過半数ないと、赤字国債の発行に必要な「特例公債法案」の成立を可決できません。この法律が成立しないと赤字国債が発行できず、予算の執行に支障が出ます。かくて参議院の存在は無視できないのです。


 参議院の選挙は3年ごとに定数の半数ずつを改選しますが、衆議院はいつ解散総選挙があるかわかりません。平均すると、衆議院の方が直近の選挙で選ばれた議員である可能性が高いため、「世論をより代表している」として衆議院の優越が認められています。


 このため、「参議院などいらないではないか」という「参議院無用論」が唱えられることがあります。


(池上 彰)


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