“安倍新喜劇” の翌日、「自民党が沖縄と大阪の補選で敗北した」本当の理由?

「喜劇俳優 大統領当確」(産経新聞4月23日)


 ウクライナの大統領選を伝える見出しだ。すごい。


■首相動静「吉本新喜劇に出演」 

 しかし日本も負けていない。


「安倍新喜劇」(日刊スポーツ4月21日)


 時の首相が喜劇の舞台に出演するのだから、ウクライナよりやっぱ日本スゴイ!!


 首相動静には、


「4時7分、大阪・難波の劇場『なんばグランド花月』。50分、吉本新喜劇に出演」


 とあった。まるで大御所芸人のスケジュール帳のよう!


 さて、ウクライナの大統領になったゼレンスキー氏に対し、


《時折のぞかせるポピュリスト(大衆迎合主義者)的な政治姿勢にも危うさがつきまとう。》(読売新聞、4月23日)


 という解説もあったが、ハッキリ言ってお互い様である。


 新喜劇の舞台では「消費増税すんのかい、せんのかい」という安倍首相との掛け合いはなかったが、さまざまなアピールはできたのだろう。


“安倍新喜劇” の翌日、「自民党が沖縄と大阪の補選で敗北した」本当の理由?

 しかし、翌日の大阪と沖縄の補選では自民党は敗れた。その様子を伝える記事を読むとあらためて感じたことがあったのだ。


  というのもここ最近、ずーっと引っかかっていた言葉があった。


 それは、「慢心」と「緩み」である。


 現政権や自民党について言及した新聞記事によく出現する言葉なのである。


 以前からあったのだが、選挙結果を報じた今週は特に目にした。


■まずタイトルに「慢心」

 自民党が沖縄と大阪の補選で敗れた翌日の社説を見てみよう。


「自民補選2敗 参院選に向け慢心を排せるか」(読売新聞4月22日)


 まずタイトルに「慢心」がある。そして文中には、


《内閣支持率は一定の水準を維持しているものの、緩みと慢心を排さなければ、参院選は厳しい戦いを余儀なくされよう。》


 やはりと言うべきか、「緩み」と「慢心」が出てくる。


 では同じ日の産経新聞の社説を見てみよう。


「衆院2補選 政権の緩みが敗北招いた」(4月22日)


 こちらではタイトルに「緩み」が入っている。


 文中には《「安倍1強」という長期政権のおごりと緩みが敗北を招いたと受け止めるべきである。》


「緩み」の前に「おごり」という言葉もあるが、これは読売が言うところの「慢心」と同じだ。


■もし昔も今も「真摯」で「タガが緩んでいなかったら」?

 日経の社説タイトルは「衆院補選2敗の重みをわかっているか」で《安倍1強とおだてられ、慢心はなかったか。》と書いた(4月22日)。


 ここでも「慢心」がきました。


 各紙終盤では、


《首相が真摯な姿勢で政策を遂行できるかが問われる。》(読売)


《タガを締め直す強い指導力が求められる。》(産経)


 と書いた。


 つまり、読売と産経は政権に「もっとシャキッとしろ」と説教しているのだ。「油断するな」と。


 しかし思うのだけど、もし政権側が昔も今も「真摯」で「タガが緩んでいなかったら」どうするのだろう。


 その証拠に安倍首相は事あるごとに「真摯に」とおっしゃるではないか。それを言葉が軽いと批判する人もいるが、本人たちが本当に「真摯に」と思ってやった結果が今現在という、そっちの可能性も考えてみる必要はないか。そのギョッとする可能性を。


■塚田一郎氏の何に「ヤバさ」を感じたのかと言えば

 今月初め、塚田一郎副国土交通相が安倍晋三首相らへの「忖度」発言で辞任に追い込まれた件があった。毎日新聞は、


「塚田氏辞任 政権『緩み』露呈」(4月6日)と書いた。


 記事を読んでみると、


《ただ、政権の緩みは塚田氏に限らない。麻生氏自身が2月3日、福岡県内の会合で「子どもを産まなかったほうが問題だ」と述べ、物議を醸した。桜田義孝五輪担当相は相変わらず発言が不安定だ。》


 とある。


 よく考えたいのだが、麻生氏の暴言の数々は気の「緩み」からくるものだろうか? いや、最初からそういう考えを持った人なのである。そんな方が長い間ナンバーツーなのである。


 桜田義孝五輪担当相に至っては発言が不安定なのではなく、最初から安定などしていない。桜田氏は決して気持ちが緩んでもいなければ慢心もしていない。赤ちゃんに泣くなと言っても泣くのと同じ。本人は全力でやったけどああなっただけだ。


 この記事で言われている塚田一郎元副国土交通相もそうだろう。


 福岡県知事選の応援演説であの発言は出たが、まず塚田氏のあの姿を思い出してもらいたい。


 ハチマキをして声を張り上げていた。地元の聴衆に麻生大臣の偉大さをアピールするあの姿勢には気の緩みは微塵も感じない。むしろ必死に頑張っていた。それもそのはず、麻生氏の推す候補の情勢がピンチだったからだ。だから「実績」をアピールするしかないのだ。必勝を誓うしかない。ハチマキを締めたあの姿からは「やってやるって!!」という気合しか私は感じなかった。


 塚田氏は真面目に、周囲の空気を読みながらちゃんと仕事をしてきたのだと思う。それが浮かんでみえたから皆ヤバさを感じたのではないか。


 だから「緩み」とか「慢心」という言葉を使って現在の政権の姿を論じるのは違和感がある。批判し、叱っているようにみえるが「シャキッとしたら本来の姿に戻る」という行間がある。果たしてそれが論点だろうか。


 論じるなら「緩み」「慢心」ではなく、元々のその「体質」ではないか。


 各紙のそこの評価が読みたい。



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(プチ鹿島)


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「“安倍新喜劇” の翌日、「自民党が沖縄と大阪の補選で敗北した」本当の理由?」の みんなの反応 1
  • 匿名さん 通報

    国民がノー天気だからこんな自民党にお任せし放題!国民の姿が今の自民党政治家に反映されているだけ。平成も終わるが今一度昭和20年8月の焦土化した我が国を見ない限り国民の姿勢は変わらない。

    0
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