さすが倉本聰。ただの続篇ではなかった。――亀和田武「テレビ健康診断」

 これって、ありか! テレビ朝日、昼の帯ドラ『やすらぎの郷(さと)』は、私たちに衝撃を与えた。大御所、倉本聰が脚本を手がけ、往年の人気俳優を惜しげもなく起用したドラマに、メディアは騒然となった。


 シニア・ドラマという鉱脈を掘りあてた、あの“やすらぎの世界”が、再び帰ってきた。今回の『やすらぎの刻(とき)~道』は一年間に渡って放映される。テレビ局の度量の大きさに驚く。


 初回を観て、前作との微妙なテイストの違いに気づく。倉本聰の分身ともいえる、主人公の脚本家、菊村栄(石坂浩二)の「このごろ、毎晩のように同じ夢をみる。いつか見たことのある山あいの道だ」という呟きで、ドラマは始まる。


さすが倉本聰。ただの続篇ではなかった。――亀和田武「テレビ健康診断」

 まだ夜明け前に目覚め、いまみた夢をベッドで静かに反芻する老脚本家。この冒頭シーンだけで、ドラマの内省的なトーンが伝わる。さすが倉本聰、ただの続篇にはしない。


 とはいえ、やすらぎの郷を包む空気は変わっていない。“お嬢”こと白川冴子(浅丘ルリ子)と水谷マヤ(加賀まりこ)のコンビは二年前より若く見える。元気で下世話な好奇心は衰え知らずだ。親子よりも齢(とし)の離れた彼女(常盤貴子)に去られたマロ(ミッキー・カーチス)も、いまだ現役でビンビンの毎日だ。


 そんなとき、菊村は部屋の隅から、十年前にボツになった『機(はた)の音』のシナリオを見つける。南アルプスを望む養蚕の村と、満蒙(まんもう)開拓団の悲劇を描いた渾身の一篇だった。その作品世界と夜毎みる山あいの一本道の夢とが重なった。


あわせて読みたい

気になるキーワード

文春オンラインの記事をもっと見る 2019年5月8日の芸能総合記事
この記事にコメントする

\ みんなに教えてあげよう! /

次に読みたい関連記事「南原清隆」のニュース

次に読みたい関連記事「南原清隆」のニュースをもっと見る

次に読みたい関連記事「椎名桔平」のニュース

次に読みたい関連記事「椎名桔平」のニュースをもっと見る

次に読みたい関連記事「鹿賀丈史」のニュース

次に読みたい関連記事「鹿賀丈史」のニュースをもっと見る

新着トピックス

芸能総合ニュースアクセスランキング

芸能総合ランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

芸能の人気のキーワード一覧

新着キーワード一覧

このカテゴリーについて

話題の芸能人のゴシップや噂など最新芸能ゴシップをお届けします。俳優やタレントやアイドルグループなどの情報も充実。