安倍政権と「闇営業」――「衆参同日選見送り」報道の前に起きたこと

「闇営業」が最近話題です。たとえばこれ。


「安倍首相、乳首ドリルに大爆笑 新喜劇メンバー表敬訪問」(スポニチ6月7日)


 新喜劇メンバーは、


《得意ネタの“乳首ドリル”を果敢に披露。「乳首ドリルすな、すな…すんのかーい!」との絶叫に首相は大笑いしたが、その流れで西川が叫んだ「衆参同日(選挙)あんのかーい!」との質問には、無言で笑うだけだった。》


 すごいステージだ。闇を感じる。


■一連の「営業」の流れにはどんな思惑があるのか

 官邸HPを見ると「安倍総理は、総理大臣公邸で吉本新喜劇メンバー一行によるG20大阪サミット関連の表敬を受けました。」とある。


 首相の新喜劇出演から続く一連の「営業」の流れにはどんな思惑があるのか。新聞の解説や分析が読みたくなった。


 しかし翌日(6月7日)の各紙を見ると、


「『同日選?』のツッコミに苦笑い」(朝日)


「衆参同日選『あんのか~い』」(毎日)


「『衆参同日選あんのかい!』首相、吉本新喜劇メンバーらと昼食」(産経


 ほのぼの系の記事に終始した。


 この報道を見て確信したのだ。今回の営業=表敬訪問は首相側からすれば大成功だったと。


“ふわっとした民意”という言葉がある。かつて橋下徹氏が使った言葉だ。


 今回の一連の「営業」をセットした側からすれば、野党との攻防より、なんとなく大量露出されるふわっとした話題のほうが選挙前の民意には有効と考えたのではないだろうか。ふわっと好感度が上がった人がいれば儲けもの。


安倍政権と「闇営業」――「衆参同日選見送り」報道の前に起きたこと

 この他にもタレントと食事したという「情報」が最近やたら多い。報道される。


 政権側が政策の提言をしたり成果を出して支持率を上げるのを“正規の営業”とするなら、タレントとニコニコしただけで労せずして好感度を上げるのはまさに“闇営業”である。


 これでよいのだろうか。私が新聞の社説を書くならタイトルは「乳首ドリルをめぐる闇」にしただろう。たぶん。


■「同日選見送り」報道の前に、打つべき人が打っていた

 さて、「同日選見送り」報道が一気に出た今週だが、最初に出たのは日曜の日本経済新聞の一面だった。


「衆参同日選 見送り強まる 消費増税 予定通り」(6月9日)


 おっ!? と思って読むと、


・衆参同日選挙を見送る方向が強まってきた。
・安倍政権内で参院選単独でも与党が勝利できるとの判断に傾いた。


 よく読むと誰が言ってるのかわからない不思議な記事だが、気になったのは「安倍政権内で参院選単独でも与党が勝利できるとの判断に傾いた。」という部分だ。


 本当にそうだろうか。


 このとき話題になっていたのが「年金以外に老後には2000万円必要」という例の金融庁の報告。これに輪をかけて放たれたのが麻生財務大臣の“追撃砲”。


「『老後2000万必要』表現不適切…麻生氏釈明」(読売新聞オンライン6月7日)


 打つべき人が打つ、いつもの人が今回もきっちり。


■「解散風がいったん止んだときのほうが怪しい」という“あるある”

 ここで年明けの「展望」記事をもう一度見てみよう。読売新聞の1月4日の記事。


《安倍首相は外交を中心に成果を重ね、統一地方選と重なる12年ぶりの「亥年選挙」を乗り切る戦略を描く。》


《6月に日本で初めて開かれる大阪での主要20か国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日するプーチン氏との間で、北方領土の問題解決に向けた大筋合意を目指す。》


 北方領土は幻に終わりそうな現状。そして今回の「年金」である。12年前の亥年選挙は消えた年金で負けたのに今回は足りない年金がブレイク。


 そう考えると同日選見送りの理由が「参院選単独でも与党が勝利できるとの判断に傾いた」は非常に怪しい。


 ただ、「解散風がいったん止んだときのほうが怪しい」というのも過去の“解散あるある”だ。まだ注目は必要かも。


■ダジャレでなく本気で「安倍ンジャーズ」と書いた読売

 最後に、勇ましいコラムを見つけたので紹介しよう。読売新聞の「政なび」という記者コラム。


 タイトルは「安倍ンジャーズ」(6月7日)。


 冒頭からゴキゲン。「アベンジャーズ(Avengers)みたいだ」から始まる。


《安倍首相とトランプ米大統領による海上自衛隊護衛艦「かが」の視察。甲板に降り立った2人が、搭載ヘリコプターを昇降させる巨大なエレベーターに乗って格納庫に姿を見せると、米国の人気映画になぞらえた感想が会場の関係者から漏れた。》


 コラムは終盤「トランプ大統領がおかしな方向に進まぬよう、安倍首相に対する各国の期待は大きくなる」とし、


《懐に飛び込み、比類ない親密な首脳間関係を築いたという意味で、アベンジャーズより「安倍ンジャーズ」と呼ぶ方がふさわしい。そんな気がする光景だった。》


 ダジャレでなく本気で「安倍ンジャーズ」と書いていた。


 それにしてもプーチンが消え、トランプにツイートされ、無条件会談を呼びかけたら北朝鮮には「安倍一味はずうずうしい」と日刊ゲンダイみたいな口調で言われ、肝心の参院選前にどんどんメンバーが減ってる気がする「安倍ンジャーズ」。


 大丈夫か。



『 芸人式新聞の読み方 』 が文庫になりました。ジャーナリスト青木理氏との「全国紙・地方紙実名ぶっちゃけ対談」などを文庫特典として収録!


(プチ鹿島)


あわせて読みたい

文春オンラインの記事をもっと見る 2019年6月14日の社会記事
この記事にコメントする

\ みんなに教えてあげよう! /

新着トピックス

社会ニュースアクセスランキング

社会ランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

国内の人気のキーワード一覧

このカテゴリーについて

国内に起きた最新事件、社会問題などのニュースをお届け中。