昭和初期を舞台に、貴族的有閑の雰囲気漂う青春群像劇

 一九九〇年代、よく新宿の「トップス」に出掛けたものだ。その頃、そこで演じられていた「自転車キンクリート」の飯島早苗作『絢爛(けんらん)とか爛漫(らんまん)とか』が公演される。


 二作目が書けなくて悩んでいる新人作家である古賀(安西慎太郎)の書斎に、批評家兼外交官志望の泉(鈴木勝大)、自称耽美派作家の加藤(川原一馬)、破天荒で自由な気質の諸岡(加治将樹)が集まり、夢や悩みを語り合う。最近、重苦しい芝居が多い中で、青春群像劇はやたらと明るくて、希望がもてる。時代設定を昭和初期にもってきたのは貴族的有閑の雰囲気を出すためであろう。物語は春に始まり、夏、秋を経て、冬に至る。季節感の変化も見どころだ。加治は最近、椿組『芙蓉咲く路地のサーガ』で中上健次の自伝的作品の主人公を好演した。


 日本女子大学出身のお嬢さんによって創造された男たちが行なう「雨夜の品定め」の雰囲気も心地良い。


ツイッター、 @GashuYuuki もご覧ください。


INFORMATION


ワタナベエンターテインメント『絢爛とか爛漫とか』
飯島早苗作、鈴木裕美演出
9月13日まで、東京・表参道・DDD青山クロスシアター
https://kenran.westage.jp/


(結城 雅秀/週刊文春 2019年8月29日号)


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