まるで戦争「日本刀44本を押収」 殺人が起きても止まらない”野田醤油ストライキ”のすべて

■勢い戦いは陰惨なものとなり暴力は至るところで演じられた

 果せる哉、スト突入となるや第十七工場の争奪戦となった。組合は16日朝より十七工場工員の出勤阻止を図ったが、説得がまずく、中には暴力を奮って追い返したりしたので失敗した。この間会社は店員を中心として工作し、工場内に籠城戦術をとり、第十七工場工員を密かに招じて、9月27日には早くも工場の再開に成功したのである。スト突入以来僅かに12日、天王山とも云うべきこの工場の生産がはじまってはストの効果は薄い。勝敗の大勢はここに決し、日本最大の長争議はかくて、戦略的に絶対不利の中に続けられる結果となった。


 先ず成功した会社は暴力団多数を雇い入れて工場の内部を固め、争議団員の切り崩しと工場再開に全力を注いだ。招致隊を編成して一軒一軒訪問し脱退を奨めた。応ずる者があると暗夜自動車に乗せて工場内に運び込んだ。かくて団員約400名の脱会があり、次ぎ次ぎに工場の再開が行われた。11月末には全17工場が操業し、黒煙を上げるに至っては最早争議は如何とも成し難くなった。


 従って組合は勢い防衛に転じ、団員の結束をはかって脱落を防ぎ、有力な調停を入れて解決をはかろうとした。然し今や勝利歴然たる会社は、只無条件降伏を求めて調停には応じない。勢い戦いは陰惨なものとなり暴力は至るところで演じられた。


■「大きくなって何になりたいですか」「正しい立派な労働者になりたい」

 会社は行徳工場の社宅が争議団本部に利用されるや、人を派して粉微塵に叩きこわした。争議団の演説会に壮士を送って暴れさせたり、堀越副団長を拉致したり、籠城している劇場を買収して明け渡しを迫ったり、生活の拠点とした消費組合の建物の差押えに出たり、可成り派手に闘いを挑んでいる。この間、会社側の暴力団は争議団員と小競合いを起して、団員3名を短刀で刺して瀕死の重傷を負わせている。


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