14歳の第三夫人が父権社会で見た現実とは……「第三夫人と髪飾り」を採点!

■〈あらすじ〉

19世紀、北ベトナム。14歳のメイ(グエン・フオン・チャー・ミー)は、美しい渓谷に囲まれた絹の里を治める大富豪の第三夫人となった。第一夫人のハ(トラン・ヌー・イエン・ケー)には一人息子のソンがおり、第二夫人のスアン(マイ・トゥー・フオン)には3人の娘がいたが、一族にはさらなる男児の誕生が望まれていた。初夜の儀を経てまもなく妊娠したメイは、この家では世継ぎを産んで初めて“奥様”になれることを知り、男児を切望するようになる。出産に向けて日々を過ごす中で、メイは第一夫人の妊娠や、ソンが抱える秘密に動揺する。


■〈解説〉

ベトナム出身のアッシュ・メイフェアが、自身の曾祖母の体験をベースに監督した初長編作品。世界遺産のチャンアンを舞台に、父権社会に生きる女たちの愛と哀しみが交錯する。93分。


  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆富豪の邸は大自然の小さな王国のよう。「産む性」としての女の哀歓を美しすぎる程の撮影で。話はもう一押し欲しい。


  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆意識の下部構造に迫る作業は面白いが、血と肉にひたすらこだわる流儀が重い。事件と風景を分離させない手腕は安定。


  • 斎藤綾子(作家

    ★★★★★湿り気を肌で感じる冒頭や触れ合えそうな女たちとの距離に切なくエロスが渦巻く。不自由である事にすら惹き込まれた。


  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆『青いパパイヤの香り』の娘的な新人監督作だが、もっと戦闘性が強い。綺麗な陶器に注がれたお茶に因習と性愛の苦味。


  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆揺れる川の水面、濡れた瞳、髪、唇。女性の歴史の触覚的断片。昔の越南特有の詩的な世界を現代の映像表現でみせる。


14歳の第三夫人が父権社会で見た現実とは……「第三夫人と髪飾り」を採点!

INFORMATION


「第三夫人と髪飾り」(ベトナム)
Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次上映中
http://crest-inter.co.jp/daisanfujin/


(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年10月24日号)


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