
11月7日、総合月刊誌「文藝春秋」が、同誌初の試みとなるデジタル定期購読サービス「 文藝春秋digital<シェアしたくなる教養メディア> 」を開始したことを発表した。
今回のサービスにおける一番の特徴は、メディアプラットフォーム「note」を利用したこと。ウェブサイトの自社開発は、これまでメディア業界では“常識”とされてきた。そのため、今回の取り組みに対し、「ウェブの自社開発を捨てた」という指摘もある。しかし、それでも月刊「文藝春秋」は、外部プラットフォームを利用してサービスを開始することに踏み切った。その背景には何があったのだろうか。
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■アクティブユーザーが2000万人を超える「note」
「文藝春秋」は、1923年創刊で、今年96年目を迎える老舗雑誌である。新人作家の登竜門ともされる小説賞「芥川賞」受賞作の全文掲載媒体として有名だ。また、これまでに「田中角栄研究――その金脈と人脈」(立花隆、1974年)、「昭和天皇の独白8時間 太平洋戦争の全貌を語る」(1990年)などの記事で世間の注目を集めてきた。
一方の「note」は、2014年にサービスを開始したピースオブケイク社が運営するオンライン上のサービス。登録者は誰でも“クリエイター”として自由に文章や音声を投稿でき、それに値付けをして有料販売することも可能だ。月間アクティブユーザーは、2019年9月で2000万人を超えた。