こうしたホテル、簡易宿所や民泊などの急増は、いっぽうで「作りすぎ」との懸念や批判を生んでいる。実際にはどうだろうか。
19年から21年における国内の主要な都市、観光地における新規開業予定のホテル客室数についてCBREから興味深いデータが発表されている。この調査によると京都では既存の客室数の約5割にあたる客室が新規供給されるとされ、21年には客室数は4万室に、大阪では既存客室数の約3割にあたる客室が新規供給されて、21年には8万室になるという。
■紅葉シーズンの京都でも部屋が余っている!?
すでに影響はこの2つの都市で実際に出始めている。昨年までは客室稼働率が90%を超えるホテルが続出、平均宿泊単価もうなぎのぼりの状態であった京都・大阪だが、今年に入ってから、特にビジネスホテルを中心に稼働率が10%から15%も落ち込むところが出てきている。
また稼働率の低下に伴って宿泊単価も下落に転じている。大阪市内のビジネスホテルも一時は東京並みに1泊1万円を下らないとされたが、最近では5、6000円で宿泊できるようになった。
例年であれば紅葉シーズンの11月はホテルの予約がほとんど不可能だった京都でも、かなり部屋が余っている状態。曜日によっては非常に安く宿泊できる状態だ。
こうした状況は利用者側からみれば、けっして悪い話ではない。宿泊の選択肢が増え、自分の財布や好みに応じていろいろな宿を体験できるからだ。