「個」が消え、(笑)が残る

■笑う門には福来る

 あくまでも個人的な好き嫌いの話として聞いていただきたい。


 動物は笑わない。『ナショナル ジオグラフィック』の記事によると、現在までのところ動物でも類人猿とラットは「笑う」らしい。しかし、これは「くすぐり実験」の結果として分かったことであって(心理学者や動物学者の中には、いろいろな動物をくすぐるのを仕事にしている人がいるのである。これはちょっと笑える)、人間の笑いよりもはるかに原始的な反応である。


「個」が消え、(笑)が残る

 笑う。それはきわめて人間的な行為であり、人間を人間たらしめているもののひとつだろう。生まれてしばらくの間、赤ちゃんは無表情である。僕の娘も、生まれてすぐの頃は眠っているか、起きていても泣いている以外のときはまったくの無表情だった。考えてみると、まとまった時間ずっと無表情でいる人を見る機会はあまりない。人間の無表情が新鮮だった。そのうち微笑むようになり、さらには声を出して笑うようになる。そうすると一気に人間らしくなってくる。その娘もするすると成長し、いまでは酔っぱらって人に毒づくなど、高度な人間感情を発揮するようになった。


 笑いが嫌いな人は滅多にいない。笑う門には福来る。「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」というのは本当だと思う。声を出して笑わなくても、とりあえず口角を上げてにっこりすると自然と機嫌がよくなる。自分だけでなく、他人も気分がよい。笑いは実にいい。


■「哀」の笑い

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