幕末の時代、人を斬ることにためらう者はいたのだろうか

幕末の時代、人を斬ることにためらう者はいたのだろうか

 映画『野火』で戦場の極限を描いた塚本晋也監督が、新作の『斬、』では「刀を使うということは、どういうことなのか」を問いかけている。


 自身も出演する今作の舞台は日本が大きく揺れた幕末。戦いを余儀なくされた若き浪人(池松壮亮)が、時流に抗いながら悩み苦しむ様を描く。


「劇画世代の私にとって、ある時期まで戦いを“ファンタジー”として描いてきました。でも戦うことがどこかで現実味を帯びてきた今、斬り合えば血が流れ、肉体が裂けるという事実から目を背けて表現することができなくなってきた。チャンバラ映画の様式美はすばらしい娯楽です。しかし、本作では人を斬る恐ろしさを映す必然性がありました」


 時代劇でありながら、現代と地続きの出来事を思わせる。


「今、ある熱狂に歓喜する空気を感じることがあります。それがやがて戦うことの勇ましさやヒロイズムと結びつく怖さを覚えるのです。そこに若者が抱くであろう感覚であの時代を見つめたいと思いました。つまり、戦いへ気分が高揚した時代でも人を斬ることに戸惑い、躊躇(ためら)う者がいたのではないかということです」


 それでもモノである刀が、人を衝き動かしていく。


「鉄は農耕の道具から武器、そしてテクノロジーに活かされ人の生活を劇的に変えた。恐ろしくも、絶対手離すことのできない魅力を知ってしまった。主人公の若き浪人も過剰なまでに刀を見つめながら、なぜ人を斬らねばならぬのかと自問自答を繰り返すのです」


INFORMATION


映画『斬、』
11月24日より、渋谷・ユーロスペースほか全国公開
http://zan-movie.com/


(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年11月29日号)


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「幕末の時代、人を斬ることにためらう者はいたのだろうか」の みんなの反応 1
  • 匿名さん 通報

    青銅器を初め鉄も最初は高価だったので武器に使うほうが先だったのでは?

    0
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