プリンセス・エリザベット
故ファビオラ王妃の女官も務めた経験を持つプリンセス・エリザベットは、シメイ城の改修・保存にも力を入れ、自ら訪問者の案内役を、85歳まで務めたバイタリティの持ち主。90歳となるいまも、毎日サロンに腰掛け、来訪者と気さくに歓談されるのを楽しみにされています。
わたしも訪問時に挨拶しましたが、品のある所作と、明晰な精神を映しだすような瞳のきらめきが、非常に印象的な方でした。
シメイ城内のシアター
城内には、シアターがあり、音楽コンクールの会場としても使われます。このコンサートホールにまつわる逸話で、忘れてはならないのが、ロシア出身のピアニスト、Valeri Pavlovitch Afanassief(ヴァレリ・パヴロヴィッチ・アファナシエフ)の亡命でしょう。
アファナシエフは1974年シメイ城でピアノコンサートを開いたあと、闇に紛れて城の裏から、西側に亡命。以来ベルギー人ピアニストとして活躍しています。
静寂に満ちた修道院迷路のような道も楽しいシメイ旧市街
シメイ城を取り巻く旧市街も趣があり、静かな町の石畳を歩いていると、時間を越えられるような気分になってきます。
聖ピエール聖ポール教会
広場に建つ聖ピエール聖ポール教会は、10世紀シメイ公が置いた聖堂がもとになっているそうです。
また、シメイは世界的に有名なトラピストビールの生産地でもあります。醸造所があるのは、町はずれのスクルモン修道院。深い森のなかにあり、静けさが充満するような空間です。