リクルートマネジメントソリューションズの組織行動研究所は3月12日、「『働き方改革』と組織マネジメントに関する実態調査」に関する調査結果を発表した。調査は2019年8月に実施し、159社から回答を得た。

同調査は2017年に引き続き2回目の調査となる。


「働き方改革」を通じた成果を実感している企業は、前回調査と比較して増加している。成果実感として最も多かったのは「労働時間減少」(62.3%)。次いで「従業員の働く時間や場所の多様化」(39.6%)、「業務効率・生産労働性の向上」(36.5%)などが続く。


■「業務フローの改善」「知識・スキル教育」などの導入企業が増加


達成状況を聞くと、「当初の目的を達成して、改革推進をほぼ終えた」とした企業は0.6%に留まった。最も多いのは「苦戦」(52.2%)で、「順調」(27%)、「拡張」(13.8%)と続く。

共通の課題は「部門・職種による状況の違い」「管理職の負荷」といった点だ。


働き方改革に苦戦している企業群では、「予算や権限」「改定ノウハウ」が低く、「現場や他部署との連携」が課題に挙がった。順調の企業群では「業務改善・ 効率化」「組織・事業デザインの見直し」に積極的で、働き方の「多様化」「柔軟化」の施策も同時推進していることが分かった。


全体では、働き方改革での「生産性向上」施策で「勤務間インターバル」の導入率は26.4%となり、前回調査(14.9%)から大幅に上がった。「業務改善・効率化」施策では、「業務フローの改善」「知識・スキル教育」などの導入・実施率が増えた。


多様化・柔軟化に関する施策について「正規/非正規雇用従業員の間の処遇格差の是正」の検討の割合が大きく伸びた。

また、育児両立や介護・傷病治療両立については、性別を問わず従業員のライフイベントと仕事の両立を支える取り組みが進んだ。「働く場所の柔軟化」についても、「副業・兼業の許可・促進」は導入・検討率ともに倍増した。


■「飲みニケーション、一見無駄に見える残業による一体感がなくなった」


「働き方改革」を行う中で、対応が必要だと思うことを聞くと、「『働きやすさ』は整ったが『働きがい』の向上はいまひとつのため、向上させていきたい」「若年層が知識経験をつけるための『時間』が減った」といった声が寄せられている。また、



「リモートワークの広がりによるコミュニケーション不足」
「ぬるま湯社員、ぶら下がり社員の増加、テレワークやフレックスにより、マネジメントの難易度が増している」
「将来的に顔を合わせて仕事をする機会が減った場合に、人間関係が希薄になることによる組織力低下などが懸念される」


など、コミュニケーションに関することへの課題を挙げる人も少なくはなかった。


中には「飲みニケーション、一見無駄に見える残業による一体感、若い時に時間を投入してでもとことんまでやりきる経験が少なく(できなく)なってきている」といった声もあがっている。