
新型コロナウィルスの影響を受けて、テレワーク(リモートワーク、在宅勤務)が急速に広がっています。オンライン会議やチャットなどのツールを多用することで、オフィスでないとできないと思われていたことが意外とオンラインで十分できるとわかり、「コロナが落ち着いても、もうオフィスワークに戻れないよ」という声も聞こえてきます。
確かに、テレワークでもオフィスワークが可能なのであれば、毎日満員電車に乗らずにすみますし交通費も移動時間も節約できます。経営者も「こんなに効率が良いならテレワークを通常にして、オフィスワークは最小限にしてもいい」と考える人も増えてきました。(人材研究所代表・曽和利光)
■結果主義が生む「業務への過集中」
そんな称賛の声だらけのテレワークですが、ここではあえて、落とし穴がないかどうかを考えてみたいと思います。
まず、オンライン化することで効率化は進むのですが、その裏には「無駄と思われている」ものが捨てられています。しかし、どんなものでもそうですが、何が無駄で何が無駄でないのかを判断するのは容易ではありません。一見役に立たないと思われているものが、実は価値があることはよくあります。
私の周辺でテレワークについて最もよく聞く問題点は、意外にも「過集中」でした。以前テレワークが侃々諤々議論されていた際は、誰も見ていなければ人はさぼるに決まっているということが常に問題視されていました。
しかし、働いている姿が見えないテレワークでは、人は結果でしか評価されなくなるので、むしろ頑張る人が増えたようなのです。