研究発表資料では「日本においては、収入と男性の婚姻状態は関連しており、過去数十年にわたる不安定な雇用状況が、日本における低い婚姻率及び出生率に関連しているとされている」と紹介した上で、
「同様に、今回の研究からも雇用や収入状態が男性においては異性との交際機会の有無にも影響していることが明らかになった」
とまとめている。
"個人の嗜好"で片付けると問題の本質が見えなくなる
同研究科の坂元晴香特任研究員は、今回の分析結果を受けて「結婚も交際もしていない日本人の割合は欧米諸国と比較してかなり高く、特に30代の割合が増加していることに驚きました」と印象を語る。
日本人の草食化の要因については「『草食化』は、一般的には内気な個人が、セックスや恋愛には無関心であるかのようにステレオタイプで表現されてきました。言い換えれば、『草食化』は主に個人の特性としてみなされてきました」と振り返った上で、次のように説明する。
「今回の調査結果から、低学歴・低収入および安定した雇用に就けないことがシングルであることや交際に関心がないことと関係していることが分かり、(草食化は個人の特性であると言う)このステレオタイプが必ずしも正しいわけではないことを示唆しています」
さらに「特に男性においては安定的に高収入を得ている場合には交際市場で人気が高いことが分かっていますし、収入の低い人は恋愛相手を見つけるのが比較的難しい可能性があると言えると思います」と付け加えた。