社員を長時間働かせるブラック企業が問題になり、残業をなくしていこうという空気になりつつあるが、先日「2ちゃんねる」に「最近ようやく残業=仕事できないという風潮になってきたね」とするスレッドが立っていた。投稿者は「特に大企業はこうなってる」と書き込んでいる。


そもそも残業って作業効率が悪い人がするものという側面があったはずだ。しかし、残業する人は頑張っている、みたいな空気になっている職場も少なくない。(文:松本ミゾレ)


■「オールラウンダー系社員」に仕事が集中する傾向があるけど……



こういった雰囲気が今一度見直されて「残業してる人は仕事ができないんだよね」みたいな風潮に戻りつつあるのは、真っ当に仕事ができている人にとっては喜ばしいことだろう。


しかし、筆者が現在関係を持っているいくつかの会社を見てみると、残業が当たり前になっている職場は、残念ながらまだまだ多い。そして、こういった会社で残業をしている人々は、決して仕事ができないというわけではない。むしろ無難に、色んなことに対応できるオールラウンダーばかりだ。


なんでもできる人は、何もできない人よりも格段に頼りになるものだから、求められる仕事量が徐々に上がっていく。小さな会社では、人材育成を放棄して、できる人にばかり仕事を押し付けることもある。


こういうことをしていると、肝心のできる人が逃げるだけなんだけど、大抵はそうなるまで状況が改善されることはない。現に先日、「オールラウンダー系女子社員」を、このパターンでむざむざ手放すことになった企業を目の当たりにしたばかりだ。


■残業にもメリットはある! でもそれってあくまで「経営者にとって」では?


と、ここまでは残業に対してネガティブな意見に終始しているが、件のスレッドを見てみると、残業が必ずしも悪ではないとする意見もあった。


いくつか紹介していきたい。



「うちの職場の上司は残業しまくりで、年休2日とか3日だが、リアルに人の3、4倍は働いてるし、それ以上の成果を出している。能力給でそれに見合った給料ももらってる。尊敬はしてるが、真似は出来ないな」
「残業=悪いなんてのがむしろおかしい。残業するほど会社に利益出やすいんだから資本主義で競争するには必要やん。資源国ではないから根性論で進めるべきだよ」


残業すればするだけバリバリ稼げる人というのは確かにいる。残業してでも稼ぎたい人にとっては、残業は魅力的に映るのかもしれない。


ただ、資本主義で競争するために残業を推すというのは、「これ経営者の意見じゃねえか?」となも思う。根性論は結果が伴うから成立するんであって、こういうのがまかり通るのは、「24時間戦えますか?」なんてトチ狂ったフレーズが横行していた30年前の日本だけだろう。


多くの会社員にとっては残業なんて、やらないに越したことはない。大企業に限らず、あらゆる職場が、「残業はしないでください」と通達してくれるような社会になってくれるといいなぁ。


経産省がプレミアムフライデーで局所的に経済効果をアップさせようとするより、各企業が毎日17時に終業させる方が絶対経済は上向くだろう。