僕は三十路だが、これまでタバコを一切吸ったことがない。別にタバコが嫌いなわけではない。

純粋に吸う機会がなかったことと、お小遣いがそんなに多くないので、タバコを買うよりもお酒に目が行ってしまうだけの話だ。多分、これからも吸うことはないと思う。


先日、2ちゃんねるに「なぜ最近の若者は喫煙する姿をカッコいいと思わなくなったのか?」というスレッドが登場した。このスレッドを立てた人物は「臭いや健康被害は別にして、タバコを吸っている姿がカッコいいのは事実だろ」と書き込んでいる。(文:松本ミゾレ)


■「今の若い人は周りを気にしろと言われて育ったから、喫煙をカッコいいとは思わない」



タバコを吸う姿がカッコいいというのは、少なからずこれまで色んな人が言っているのを聞いたことはある。事実、SNSなんて見てみると、タバコをくわえている自分の横顔をアイコンにしているユーザーもいる。

くわえタバコが似合う人も現にいるし、この主張も理解できないわけでもない。


特に男性なんて、喫煙した最初のきっかけなんて、大半はカッコつけたいからではないだろうか。そのうちにタバコを吸うことが習慣化して「別にカッコつけるために吸ってねえし」という人はいるだろうが、それは結果そうなっただけであろう。


だからこそ、このスレッドの投稿者は今、まさにタバコを吸うきっかけとして大きな意味合いを持つ「カッコつけるため」という理由を、あえて提示してみせているのだ。ただ、昔ほどこの考えは、若者の間では主流ではなくなっている。


今回のスレッドでも以下のような声が寄せられていた。



「映画やドラマでカッコいいシーンが流れなくなって、狭い喫煙所で肩身狭そうに吸うようになったから」
「哀愁を漂わせるのをカッコいいと思うなら、それは自分に酔えた証拠。今の若い人は周りを気にしろ気にしろ言われまくって育ったから、タバコに手をつけようとは思わないし、カッコいいとは思わない」


特に最近は、ガラス張りの喫煙ペースに押し込められた喫煙者をよく目にする。窮屈そうに顔をゆがめてもなお、一生懸命にタバコを吸っている姿は普通に考えてカッコいいとは思えない。


■やっぱり「お金がない」というのも大きい気がする


あと、この前こちらのコラムでも書いたが、最近では「若者の○○離れ」という言葉を、おっさん連中がなにかにつけて口にする。


今回の例で言えば、若者のタバコ離れを憂いているということになるだろう。理由は色々あるが、主に健康被害が見過ごせない点。

それから価格だ。先日、何気なく「わかば」の値段を確認したら、320円もして驚いた。四半世紀前は、100円ぐらいだったはずなのに。


安物のタバコですらこんなに高いんだから、この不景気のもとで年収200~400万円台前半ぐらいの稼ぎに喘いでいる世代にとっては、タバコ代も馬鹿にできない。ましてや中毒性のある嗜好品だ。ハマッてしまうと出費は深刻なものとなる。

カッコがどうか以前の問題でもある。


JTが発表した「2017年全国たばこ喫煙者率調査」によると、現在20代の成人男性の平均喫煙率は22.8%。30代の場合は32.1%となっている。統計調査を開始した昭和40年では、どちらも喫煙率は80%を超えていたが、若い世代の喫煙者は大幅に減っている。


そもそも、タバコを吸ってる姿が様になる奴ってイケメンぐらいだし、大抵の喫煙者は歯が黄ばんで息も臭い。お金に余裕もないし、今の若者の中に、わざわざヤニ臭くなりたいと思う層がどれだけいるのだろう。