東京大学は、非正規職員の雇用上限年数「5年ルール」を撤廃する。12月12日の学内部局会議で決まった。

約4800人のパートタイム職員と、フルタイムの有期職員約2700人、非常勤講師約2800人の合計約1万人が影響を受ける。


2013年4月に施行された改正労働契約法では、2013年4月以降に契約を結んだ場合、労働者が通算5年継続して雇用され、かつ希望があれば、原則全員を無期雇用に転換しなければならないと定めている。


しかし東大は、2004年の大学法人化を機に有期雇用労働者の雇用年数上限を5年と設定した上、労働契約法改正後には、有期雇用者を再雇用するために空ける空白期間(クーリング期間)を3か月から6か月に延長するなどのルールを設けており、実質的に「雇い止め」となっていた。


「他大学は、『うちではできない』という言い訳できなくなった」



東大教職員組合ら3団体は12月19日、厚労省で会見を行い、「8月の会見以降、世論が盛り上がってくれた。世論が大学を包囲した」と喜びを語った。


東大側はこれまで、名古屋大や金沢大のような無期雇用転換は「規模の大きな東大で無期転換は出来ない」との態度を取っていた。

それが今回、雇用年数上限の規定を削除し、無期雇用への道を開く方針に転換したことは、他大学にも影響すると見られる。東大教職員組合の佐々木彈執行委員長は



「他大学は、『うちではできない』という言い訳は通用しなくなった。(大学側は使用者から)あれだけのマンモス組織でも出来るのだからうちでも出来るのでは、と言われるようになるのでは」


と、他大学への波及を期待していた。


東大側は、5年上限の撤廃は来年度から適用するとしている。年度内の1月や2月に契約満了を迎える労働者の処遇に関する発表はまだない。全大教の担当者は「まさかこのタイミングで雇い止めはないと思うが、この人たちの扱いがどうなるか注視したい」と言う。


文科省が昨年度実施した調査では、86の国立大学法人のうち、有期職員に契約更新の上限を設けていないのは、浜松医科大や秋田大など6校。約6割にあたる56校は無期転換について「職種によって異なる対応を行う」と事実上の様子見状態だった。中には、無期転換の申し込み権が発生する来年4月を前に、選抜試験を行い、既に事実上の雇止めを決めた大学もある。


東大教職員組合の佐々木彈執行委員長によれば、有期雇用者を無期雇用に転換する際、大学側が、資金不足でできないと言い訳する場合があるという。しかし、「無期雇用化に昇給や待遇改善は必要ない。現職を雇い止めしたところで、業務が続くなら後任を雇わなければならない。

金が無ければ無期雇用に出来ないというのは都市伝説。合理性はない」と批判した。


なお、東大広報課はキャリコネニュースの取材に、今回の方針転換の理由を「政府で進められている働き方改革の動向を踏まえ、本学の全ての教職員が安心してより高いパフォーマンスを発揮してもらうため」と述べている。