長時間労働を助長するとして批判を浴びてきた裁量労働制の拡大が、今国会で審議されている働き方改革関連法案から切り離されることになった。2月28日、朝日新聞などが報じた。
ネットでは、「野党の粘り強い追及が労働者を守った」と切り離しを評価する声が上がっている。しかしこれで安心できるわけではなさそうだ。同制度の問題点をヤフー!個人などで積極的に指摘してきた法政大学の上西充子教授は、「裁量労働制を拡大する法案の提出をあきらめたわけではないでしょう」と指摘する。
「労働法制の規制緩和に固執する姿勢は変わっていない」
裁量労働制の問題が明らかになり、労働時間の調査データにも不備が発覚する中で、同制度に反対する声が徐々に大きくなっていった。2月25日には、東京・新宿で反対デモも行われた。
「裁量労働制の問題については理解が広がってきました。多くの人が『長時間労働が助長される』『柔軟な働き方をするためにはフレックス制度で十分』と認識するようになってきています。しかし安倍首相がこうした反対の声に真摯に向き合っているようには感じられません。野党からの追及に耐えきれなくなっただけではないでしょうか。裁量労働制を拡大する法案の提出をあきらめたわけではないでしょう。決して安心できる状況ではありません」
また、専門職として働く高収入の人を労働時間の規制や残業代の支払い対象から外す「高度プロフェッショナル制度」は依然として法案に盛り込まれたままだ。同制度も、「残業代ゼロ」「過労死を増やす」と批判されてきた。
高度プロフェッショナル人材も『年収1075万円以上』から年収要件がどんどん引き下がるんだろう。ホワイトカラーエグゼンプション、残業代ゼロ法案を思い出すべきだな。