和歌山県教育委員会は、今年度実施する公立高校の教員採用試験から、関連分野の博士号を持っていれば、教員免許が無くても受験できるよう制度を変更した。和歌山県では2015年度実施の教員採用試験から、理科、数学、工業、農業の4教科に限って同様の特別選考を実施していたが、選考対象を文系にも広げた形だ。


博士号取得者を対象にした教員採用試験は、静岡県長野県などでも行われているが、いずれも文系は対象外になっている。和歌山県教育委員会の担当者は制度変更の狙いについて



「高校の指導で高い専門性が必要なのは、文系でも同じこと。文系にも博士号取得者に来てもらうことで、県内の指導者の専門性を高めていきたい」


と明かす。


専門性を活かし活躍期待 実習経験の不足は現任校のケアでカバー



採用試験では、1次試験で「一般教養」と「校種・教科専門」、2次試験で「教職専門」が免除される。試験合格後は、教育委員会の検定を経て付与される特別免許状に基づいて職務にあたる。


特別免許状は、教職課程を履修していなくても、担当教科に関連する専門的な知識、技能、経験を持つ人を教員として認めるもので、1988年の教職免許法改正に伴い制度化された。

一般的な普通免許と同様、有効期間は10年で更新も可能だ。普通免許が全国で効力を持つのに対し、特別免許状の効力は授与された都道府県内のみ。高校では、2015年までに全国で累計661件の付与実績がある。


和歌山県教育委員会は、これまでの採用実績を公表していないが、担当者曰く「多くはない。ただ、採用された人はその後も、専門性を活かして働いていると聞いている」という。



「人間性、社会性、物の考え方などは面接で十分推し量ることができ、『この人なら』という人を採用している。

実習経験の不足は、初任者研修も含め、現任校でアフターケアできている」


と、採用後の指導体制についても語っていた。採用後の待遇については、



「博士号取得による加算給などはなく、公務員の号数に応じる。号数は、院卒という学歴や年齢、それまでの経験によって決まるので、22歳の新規学卒者と同じ待遇にはならない」


と言う。今後、試験の受験条件を修士まで拡大するかどうかについては、「今のところ考えていない」という回答だった。