進学校での受験アンケート調査を手伝った際、誕生日を記入する欄があった。担当者に理由を聞くと、進学校には早生まれの人が少なくて、4~6月生まれが多いというデータを採るためだった。


これは既に研究で明らかにされている。岩手大学の内山三郎名誉教授の「小学生から大学生までに現れる生まれ月分布の偏り」という論文によると、公立小では児童の生まれ月の割合に大きな特徴はなかったが、入学時に試験のある小学校では、早生まれが標準より2割強少なく、4~6月生まれが2割弱多いという顕著な偏りが見られた。高校においても、進学校と非進学校では同様の傾向が出たという。


筆者も早生まれで、大人になって進学実績に偏りがあることを知った。もう成長しきっていたため聞き流せたが、幼い時に知っていたらショックだっただろう。(文:ツマミ具依)


「幼い頃はやはり体も小さくみんなについていくのが大変でした」



先日のガールズちゃんねるの「早生まれの方、何か損しましたか?」というスレッドにて、トピ主が早生まれについて疑問を投げかけた。


友人から早生まれを避けて妊娠計画するようアドバイスされ、その理由を聞くと「可哀想じゃん、小さい時とか大変じゃん?」と言われたことが引っかかっているという。トピ主本人も早生まれだが、特に苦労した記憶はなく、早生まれは可哀想な存在なのかと少し悲しくなったそうだ。


スレッドの反応は、「早生まれで損したことは特にない」という声がを占めた。



「アラサーになったら逆に嬉しいよ」
「5月生まれの私からしたら誕生日遅くて羨ましいと感じてしまう。 年取るの早く感じるのよね」


損したどころか、むしろ若くいられるから早生まれであることに満足しているという声がたくさんあった。これにはアラサー早生まれの筆者も大変共感する。

年齢の話題になるたびにラッキーに思う。



「2月末生まれで、なおかつ早産で生まれたので幼い頃はやはり体も小さくみんなについていくのが大変でしたね。身体的にも学力的にも幼い頃の1年の差は大きいですね。子供の頃は誕生日来るのが遅いのも嫌だった」
「誕生日を忘れ去られること。わたしはクラスメイトにちょいちょいプレゼント上げていたのに、お返しがない人が沢山!損した!」


大人になった今は不満はなくとも、小さいころは嫌だったという人も少数いた。早生まれによる体力や学力の差を痛感していた人もわずかにいるようだ。

また、誕生日プレゼントが年始や春休みでお返しがもらえないという人もいたが、これは夏休み期間に生まれた人も同様のことがいえるため、早生まれに限った話ではないだろう。


「早生まれをフォローされずに自己否定が始まるとだめな気がする



「免許とれるのが遅くて仕事しながら教習所通わなきゃならなくて少し大変だったー」
「やっぱり車の免許! あと成人式の時にみんなと一緒にお酒飲めなかったことぐらい」


具体的に何が損と思ったかというと、車の免許をあげる人が目立った。普通車の免許取得は、18歳にならなければ仮免許の受験資格がないため3月末生まれの人は高校卒業までに取得できず、夏休みに免許合宿に行っている友人を羨ましく思うのも無理はない。成人式では、早生まれだと実年齢が未成年であるためお酒を飲めず、筆者自身も大変残念に思ったことを覚えている。



「早生まれは自殺率が高いらしい 」


この書き込みには大変驚いた。2015年に大阪大学が、4月2日直前に生まれた早生まれの若者は、その後に生まれた若者に比べて自殺率が約30%高くなるというショッキングな研究を発表していた。



「小1の時点で同級生と比べて挫折する確率上がるのは間違いない。その後の伸び代はもちろん本人次第だけど、早生まれをフォローされずに自己否定が始まるとだめな気がする」


こういった書き込みがあるように、早生まれによる成長差は精神面にも影響を及ぼすことは否定できない。そう考えると、心配しすぎにも思えるが、他の子に比べて足が遅かったりひらがながうまく書けなかったりして自信をなくさないよう見守る親の姿勢はあってもいいのかもしれない。元気に育って将来は「長く若くいられてラッキー」と早生まれをポジティブに感じてほしいものだ。