アニメ『キャプテン翼』は、80年代を代表するアニメであると同時に、世界で一番有名なサッカーアニメでもあります。スポ根アニメ全盛期が過ぎ、「さわやか」「楽しさ」「友情」などを前面に出した作品で、テレビ東京アニメ至上1位の視聴率を誇る人気作品となりました。
その記録は今もなお破られていません。

 サッカーがうまく、わざわざ東京からサッカー強豪地区である静岡に引っ越してきた、主人公「大空翼」が、最初に会う強敵で最初のライバル、それが「若林源三(わかばやしげんぞう)」です。

【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■おぼっちゃまはS.G.G.K

 お父様は地元の名士で、源三のために専属のコーチをつけるほどの熱心さ。幼いころから体格にめぐまれ、他の小学生とは比べ物にならない身体能力をもっていました。
結果、特別扱いされてきたり、己のサッカーの能力に慢心していたりと、少々傲慢というか天狗になっており、横暴で偉そうなおぼっちゃまでした。

 しかし、柔和でまっすぐな性格の翼くんとの交流や、格下と馬鹿にしていた南葛小の石崎くんの努力や洞察力を知るなど、自分の傲慢さを顧みるように。その後は末っ子とは思えないリーダーっぷりを発揮し、本作でも最も有名な選手の一人となります。

 キーパーとしての能力は本作一で、「東洋の守護神」「S.G.G.K(スーパーグレートゴールキーパー)」と呼ばれています。私立修哲小学校時代、5年生にして「無失点優勝」をなしとげるなど、非凡な才能を魅せ、小学生サッカー選手として最も注目を集めていました。小学校卒業後、12歳で当時の世界最強チーム、ドイツのハンブルグユースに入団するなど、日本トップクラスのサッカー天才児でした。


■嫌われ役に徹する大人の男

 日本代表時代の源三は、さらにそのリーダーシップは増しています。十代ながらも、すでにドイツでプロとして活躍し成功を収めている余裕もあるのか、一歩引いて「チームのため」に徹します。チームメイトに喝を入れるため、あえて「オマエラと違ってオレプロだし」感をプンプン出してちょっと偉そうな態度をとり、競争心・闘争心をあおるなど、不言実行な大和男子なのであります。

 その素晴らしいキャプテン気質で、修哲小でもキャプテン、翼くんも在籍した南葛SCでもキャプテンです。そしてその卓越した身体能力とセンスで、どのチームでも基本正ゴールキーパーなので、他のキーパーの出番がありません。放っておいたら、キャプテンは翼くんじゃなくて源三になってしまうんですよ。
そのため、どうしても怪我やら留学やらで、退場を余儀なくされてしまいます。それだけ無双なんです。

 しかし源三が怪我をしたとき、解説の人が「キーパー森崎くんだから取れなーい!」とまで言うのはひどすぎます。たしかにそうです、源三ならとれますけど、ひどすぎます。森崎くんだって日本代表なんだぞ!

■曲がったことは大嫌い!

 意思がはっきりしていて、目的や自分の信じることに対してはまっすぐな源三。当初よりマイルドになったとはいえ、トラブルは起こしがちです。
ヨーロッパに渡ってすぐ、リンチを受けるという事件がおきますが、“もれなく”“全員”“翌日”“ひとりひとり確実”にボコっています。勝機を見つけて、戦いを挑むあたり、守護神らしい戦略です。

 しかし、勝負にこだわるあまり怪我も多く、監督の意向に沿わないプレイをすることも多々もあります。「守りの若林」と呼ばれていますが、カッとなるとゴールキーパーながらゴールを狙うなど攻撃的な一面も。見ている分には爽快ですが、監督としては少々扱いにくいようで、ハンブルグでは実力は認められつつも試合に出られない状態が続いています。作品的に、ちょっと強すぎてバランスが取れない部分もあるのかもしれません。


 ドイツでは“ゲンさん”と呼ばれ親しまれる源三。シュナイダーくんとの対戦を楽しみにしていましたが、出場回数が少なくチャンスに恵まれません。対戦もよいのですが、せっかくですから、連載が再開した際には、翼くんやシュナイダーくんと同チームで戦う姿も観てみたいですね。

【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】

★記者:藤原ユウ(キャラペディア公式ライター)

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