『ばらかもん』は、都会育ちで世間知らずの若者が、長崎県五島列島の離島で素朴な村人や元気な子どもたちと触れ合う中で、少しずつ人間的な成長を経ていくという物語です。音楽に名作曲家「川井憲次氏」を招いたことで、より物語に広がりが生まれました。


 今回ご紹介する「山村美和」は、主人公「半田清舟」の家に出入りする島の中学生。いつも親友の「新井珠子」とともに行動しています。美和のCV「古木のぞみ」さんは、舞台である五島列島の出身で、方言監修も担当されたそうです。

【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■ボーイッシュなスポーツ少女

 美和の家は酒屋を経営しています。
父親はどういうわけか顔に大きなキズがあり、どうみても“そのスジの人”に見えるいかついオヤジ。豪放磊落で、漁師でもないのに趣味で「唯我独尊丸」というひどい名前の漁船を持っています。その影響からか、美和もかなり大雑把。年頃の女の子にも関わらず、寝癖のままザリガニ釣りに行ったり、ケンカが強く、となり村の運動場まで行って子どもたちを追い出したりします。

 プロレスが好きなのか、半田先生が来るまで勝手に基地として使っていた家に、昭和のプロレスラーのポスターを貼っており、先生が来てから剥がされた後も、家に勝手に上がり込んでポスターを貼り直していました。ソフトボール部のエースでありながら、同時にバスケ部などの助っ人も務めるという万能スポーツ少女です。


■面倒見の良いお姉ちゃん

 同級生たちからはリーダーシップに疑問をもたれている美和。しかし、子どもたちの面倒見は良く、特に、親のいない「なる」とは、時にはからかいながらも仲良く遊んであげています。ただ、子どもに対しても大雑把なので、小学1年生にはちょっと危険な、高い防波堤からの飛び込みなどもさせてしまいます。

 また、珠子とはかなり下世話な会話をしているようで、それを横で聞いていた「なる」が、「歌舞伎町の女王」「枕営業」「本気汁」などという言葉を覚えてしまっています・・・。

■勝負に拘る先生の気持ちを知る

 夏休みになると、美和は珠子といっしょに半田先生に習字を習います。書道展での勝負にこだわる半田先生に対し、最初は「楽しく書きたい」と、勝負へのこだわりは見せませんでした。
しかし、一生懸命に練習して作品を仕上げた後は、金賞をとって先生をおどろかせてやりたいという気持ちになります。

 ところが、いざ夏休みが明けて作品の評価が下されると、珠子は見事金賞だったのに、美和は銀賞。以前半田先生が書道展で2位になったのと同じような落ち込みよう・・・。それは、一生懸命練習したのに金賞をとれなかったこと、先生に不甲斐ない姿を見せたくないこと、そして珠子の金賞を喜んであげられないことなど、複雑な思いの絡まりあった結果です・・・。粗暴に見えて意外と繊細なのです。

 「山村美和」は、粗暴なようでいて優しい気持ちを持った女の子。
今の優しさと快活さを持ったまま成長すれば、きっと将来は女子モテするようなかっこいい女性になるのではないでしょうか。“女の子らしさ”はとりあえず気にせずに、美和らしく素直にまっすぐ生きていってほしいですね。それこそが彼女の最大の魅力なのですから。

【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】

★記者:玄Kuro(キャラペディア公式ライター)

(C)ヨシノサツキ/スクウェアエニックス・「ばらかもん」製作委員会