ガンダムシリーズは主人公などの男性キャラクターだけでなく、魅力的な女性キャラクターも数多く存在します。強く気高い理想を追求する女性や、男性キャラを圧倒する戦闘力を持つ女の子が多い中、今回は良くも悪くも「普通の女の子」だったヒロイン「フレイ・アルスター」の魅力についてご紹介いたします。


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】

■明るく活発なお嬢様

 大西洋連邦事務次官である「ジョージ・アルスター」の娘である「フレイ・アルスター」。いわゆる典型的なお嬢様です。やや世間知らずでわがままなところもありますが、父の理想の女性となるためにオシャレに人一倍気を遣うなど、歳相応の女の子らしい一面も持ち合わせています。ヘリオポリスのカレッジではアイドル的存在であり、主人公の「キラ」も「フレイ」に対して好意を寄せていました。
親同士の決めた婚約者である「サイ」との仲も良く、意図せずとも「欲しいものが当たり前に手に入る」環境にいた女の子だったのは事実といえるでしょう。

■父の死から崩れ始めた均衡

 そんなフレイの幸せが壊れたのは、愛する父の死からでした。ヘリオポリスがザフト軍の攻撃を受けて避難している際、父の乗る艦が目の前で撃破されてしまうのです・・・。これをきっかけに、フレイはコーディネイターへの憎しみに囚われるようになります(元々父の影響でコーディネイターへの偏見はありましたが、憎しみが強くなったのはここから)。また、天涯孤独の自分を守ってもらうために「キラ」に対して優しく接し、「サイ」との婚約を一方的に破棄するなどの行動もここからでした。これだけ聞くと「フレイは何てひどい女なんだ」と思う人も少なくないとは思いますが、今まで戦いの世界と無縁だった15歳の女の子が、突然「家族」と「今まであった平和な日常」を失えば、正常でいられなくなるのも無理もないはず。
そういった意味でも、フレイは結局、“普通の女の子”だったのでしょう。

■彼女なりの贖罪

 ストーリーが中盤に入ると、キラが一度戦死扱いになり前線から離れる展開があります。父の死後、唯一の拠り所だったキラを失った事で激しく動揺したフレイ。その後も誰かに「守ってもらおう」とする行動を取りますが、それまで優しかったサイからの拒絶や、懸命に戦う仲間たちの姿を見て改心。戦線に復帰したキラとの再会を願い、また弱さゆえの身勝手さの贖罪として、ドミニオンのオペレータークルーになるのでした。最終決戦において命を落としてしまいますが、精神体となってキラに語りかけるシーンは涙なしには見られません。


 その所業ゆえに好き嫌いの分かれるキャラクター「フレイ・アルスター」。戦いとは縁遠い場所にいた境遇を思えばそれも仕方ないことなのではないかと思います。そういった意味では、今こうして平和な世界にいる私たちが急に戦いに巻き込まれてしまった時、果たしてフレイのようにならないと言い切れるのでしょうか?きっと「フレイ・アルスター」は、もっとも私たち視聴者に近い、もっとも普通の女の子(ヒロイン)だったといえるのではないでしょうか。

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★記者:凛廻(キャラペディア公式ライター)