勤務非番日にもかかわらず自宅近くで起きた住宅火災の現場に急行し、危険を顧みず煙や火の手が迫る屋内から高齢夫婦を救出したとして、市原市消防局(善場吉洋局長)は17日、五井消防署の蔵本豊消防司令(52)を表彰した。
 同局などによると火災は5月7日夜、同市勝間の住宅で発生。
非番のため自宅にいた蔵本さんは消防職員用の情報メールで知った。火元が自宅から約240メートルで、幼い頃から顔見知りの90代夫婦2人暮らしの家と気付き現場へ急行。消防隊は到着しておらず、通報した近隣住民から屋内に夫婦が取り残されていると知らされた。
 消防装備はなかったが、煙の状況や退路を確認した上で、開いていた1階の窓から屋内へ。居間のベッドで就寝中の女性を抱きかかえ、屋外で住民らに託した。再び屋内に戻り、炎が天井まで達し、暗く煙が充満する視界不良の中で男性を発見。抱きかかえ救出した。その時サイレンが聞こえた。
 消防隊は通報14分後に到着。住宅は全焼し、高齢夫婦は負傷し搬送されたが命に別条なかった。蔵本さんの果敢な行動がなければ、夫婦ともに命の危険があった。
 同市消防局で17日、蔵本さんに表彰状を手渡した善場局長は「長年の経験に基づく的確な判断と行動で救出した功績は大きい。
市民に安心感を与えるとともに、職員の模範となる」とたたえた。蔵本さんは「小さい頃からの顔見知りだったので助けられてよかった。行ける所まで行こうと考え、ぎりぎり中に入れるタイミングだった。良い判断ができた」と話した。
 (佐藤大介)
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