
ここ数年、その個性的なキャラクターでクラシックポルシェ界に旋風を巻き起こしているのがマグナス・ウォーカーだ。シェフィールド生まれのエンスージアストで、これまでに高品質のヴィンテージ911を何台も送り出してきた。マグナスのレストアはスポーティーさに重点を置き、公道でもサーキットでもアグレッシブな走りを楽しめるクルマを目指す。結果的に、危険な香りと獰猛なサウンドを放つクルマに仕上がるが、派手なホイールフレアなどは装着せず、外観はあくまでもさりげない。
紹介する1 台は典型的なマグナスのクルマとはひと味違う。この1966年911は、彼のほかのオモチャに比べればファクトリーを出たときの姿を留めている。とはいえ見た目に騙されてはいけない。こう見えて、ちょっとした"スリーパー"、つまり"羊の皮を着た狼"だ。大人しい外見の下に意外なスピードとパンチを秘めているのである。

マグナスは1964~73年までの911を5年かけて収集していた。従って、このクルマを購入するチャンスが訪れたら逃すはずはない。ヨーロッパ仕様の1966年式で、マッチングナンバーの興味深い1台だ。1965年12月20日に製造されたので、FIAのヒストリックイベントにも出走できる。発見されたときはかなりひどい状態だった。東海岸のペンシルベニアにあったのがひとつの要因だ。