レンジローバー・スポーツとイヴォークの間を埋めるヴェラール。ボルボXC60、アウディQ5、BMW X3と、最近フルモデルチェンジが相次いでいる欧州Dセグメント級SUVよりもひと回り大きくなっています。

全長4820×全幅1930×全高1685mmというサイズは、ライバルよりも100mm以上長く、全幅も30mm以上ワイド。全高も10~20mm以上高くなっていて、伸びやかなボンネットのラインからも分かるように、流麗でありながらレンジローバーらしいフロアの高さによる見晴らしの良さを味わえます。

レンジローバー(ランドローバー)といえば、いわゆる「コマンドポジション」と呼ばれる着座姿勢や前方の視界の良さ、大きさを感じさせない取り回しの良さを実感できます。

弟分のイヴォークはコマンドポジション的な姿勢に近いものの、少し足を投げ出すような着座姿勢になるので、より「レンジローバー的」といえるのはヴェラールといえそうです。

エンジン縦置きのヴェラールは、ジャガーF-PACEと同じプラットフォームを使ったFRベースの4WD。全車にインテリジェントドライブラインダイナミクス(IDD)を搭載し、走行状態により前後、後輪左右のトルク配分を最適に調整するもの。

F-PACEは、イニシャルでのトルク配分は前後「10:90」となっていますが、レンジローバーは、悪路での高い走破性も求められることから基本の前後トルク配分は「50:50」になっています。

この点がオンロードでの走りにも大きく影響していて、F-PACEのように滑りやすい路面で少しお尻が出るような挙動を揺することなく、大雨の中でも安定した走りを披露してくれます。もちろん、FRベースらしい切れ味の鋭さも味わえますから、オンロードの走りを楽しめるのはもちろん、スキーエクスプレスとしても頼りになりそう。

試乗車は380ps/450Nmの3.0L V6スーパーチャージャーを搭載。スーパーチャージャーらしく中・低速域から分厚いトルク感があり、急な上り坂でも動力性能に不満は感じさせません。

新たに加わったレンジローバー・ヴェラールは仕様によっては軽く1000万円を超えますが、レンジローバー・スポーツとは異なるデザイン手法で仕立てられた内・外装は魅力に感じる方も多いはずで、弟分のイヴォークのように新たなレンジローバーのファンを獲得する看板モデルになりそうです。

(文/塚田勝弘 写真/ダン・アオキ)