
これまで19回にわたって、2000年からのITバブル崩壊とされた株暴落局面で、為替相場はどのような動きになったかについて述べてきました。改めて、大きな流れを振り返ってみましょう。
歴史的株暴落局面に「21世紀最大の円安」となった
ITバブル崩壊の株暴落とは、米ナスダック指数が2000年3月から2002年10月にかけて最大7割以上も下落した出来事でした。ところが、そのような米株の大暴落を尻目に、為替相場は1米ドル=101円から135円まで米ドル高・円安に向かったのでした。
ITバブル崩壊は、リーマン・ショックを含む2007年から広がった信用バブル崩壊とともに、21世紀を代表する株暴落、リスクオフ局面です。しかし、リーマン・ショックでは円高が進んだように、教科書的には「リスクオフでは円高」とされている中では意外といえる「リスクオフの円安」となった点が一つの特徴だったでしょう。
ではなぜ、ITバブル崩壊では「リスクオフの円安」となったのか。それは、すでにITバブル崩壊が始まる前に起きていた急激な円高への反動も一因だったのではないでしょうか。
ところで、ITバブル崩壊前夜の1998~1999年といえば、まさにFX(外国為替証拠金取引)が始まったばかりのタイミングでもありました。FXの船出となった1998年は、夏に突如世界的な金融危機が発生するなど、世界経済が豹変したことから、米ドル/円も10月のたった3営業日で35円も大暴落するといった大波乱に見舞われました。