一方で、もう一つの最重要指標であるLTV(純負債/保有株式)に関しては、20.4%と21年12月末比で1.2%改善した。孫氏は「非常時でも35%以下に抑えることを目指しており、3年以上LTV25%未満を堅持している」と説明。

また、企業の短期的な支払能力を示す手元流動性を3カ月で8000億円増やし2兆9000億円にした。「今後2年間の社債償還額は1兆3000億円を見込んでいるため、十分に安定運行をしているといえる」(孫氏)

なぜ安定運行できているかというと、ビション・ファンドへの投資で失った金額よりも、上場株式の売却などで回収した金額が上回っているからだ。2021年度の12カ月累計の投資額は5兆2000億円だった一方で、売却などにより調達した資金は5兆6000億円だった。

ビション・ファンドの投資先企業は475社になったが、「1件当たりの投資額を減らしており、小粒の投資が増えてきた」(孫氏)といい、一方で新規上場数は21年度には27企業と過去最高で増え続けている。孫氏は「能天気に投資するのではなく、手元の現金が貯まるように、厳選した投資を行っていく」と方針を示した。

孫氏「攻めの姿勢も崩さない」

過去最高の赤字と、驚きを隠せない発表内容であったが、語気を弱めない孫氏は「『守り』に神経を注いでいくが、『攻め』の姿勢を崩すつもりはない」と断言した。

孫氏はいま、2つのことに神経を注いでいるという。一つはビション・ファンドの効果的な運用についてで、もう一つは英半導体設計子会社であるArmの次の展開についてだ。「新たな資金を使わずに、今持っている持ち駒の中で成長を目指す」(孫氏)