●ヒール役にやりがい「なんだアイツ! って思われたい」
飾らない人柄でバラエティでも大活躍の女優・佐藤仁美。舞台経験も重ねており、8月に上演されるミュージカル『ヴィンチェンツォ』ではヒール役に挑む。
佐藤にインタビューし、同舞台への意気込みや、女優業とバラエティへの思い、素の自分を出せるようになった転機など話を聞いた。

ソン・ジュンギが主演を務め、大ヒットした韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』を、世界初のミュージカル化。シリアスとユーモアが入り混じるストーリーと大迫力のアクションを融合させた復讐劇が日本の舞台で蘇る。イタリアマフィアのコンシリエーレ(相談役)である主人公の弁護士ヴィンチェンツォ・カサノ役を和田雅成、ヴィンチェンツォと共に大胆不敵な復讐に挑む弁護士ホン・チャヨン役を日向坂46の富田鈴花、ヴィンチェンツォ、チャヨンと対立するウサン法律事務所の主力弁護士であるミョンヒ役を佐藤仁美が務める。

佐藤は昨年Netflixでドラマを視聴し、見た数週間後にこの舞台の話をマネージャーから聞いたそうで、「舞台化!? ミュージカル!? どうすんの!?って(笑)。うれしさはもちろんありましたがびっくりしました」と当時の心境を明かす。


本作の魅力について、「アクションもあるし、コミカルなところもあるし、少し恋愛要素もあったり、友情が芽生えたり、いろんな感情があって面白い」と語る佐藤。「作品を汚したくないしですし、プレッシャーはすごいです」と吐露した。

ミョンヒ役にはとてもやりがいを感じているという。

「最初から最後まで、嫌なヤツから始まって嫌なヤツで終わろうと。踊りも歌もふてぶてしく。ずっと観客に『なんだアイツ!』って思われたいです。
ここまでずっと嫌な役は初めてですね。ミョンヒは性根が腐っていていいところが全くない。だから逆に楽しいなと」

ミョンヒと自身の共通点はほとんどないが、「思ったことを言うのは似ている」とのこと。「あまり我慢しない。自分が発言したことでストレスを感じることがあったとしても、言わないでストレスを溜めるほうが嫌なので」と話した。

思ったことを言えるようになったのは、30歳を超えてバラエティへの出演が増えてきてからだという。


「女優としてバラエティに出るのではなく、爪痕を残そうと思って出演をした意識の差なのですが、もう女優ヅラしないでいいやと思って、『うるせえ!』と言ったら受け入れてもらえて、『これで笑ってくれるの!?』と(笑)。その頃、1年半ぐらい仕事がなく、どうやって暮らしていこうという時期だったので、バラエティに苦手意識がありましたが出演させてもらい、そこで気取っていても仕方がないと思ったので。そこから素のまんま話すようになり、たまに余計なことを言ってしまったなということもありますが、とても楽しいです」

そして、日本テレビ系『今夜くらべてみました』(『今くら』)がきっかけでバラエティにたくさん呼ばれるようになったと振り返り、さらに同番組がミュージカル出演にもつながったという。

「『今くら』でカラオケなどもして、経験がないのにミュージカルに呼んでもらって。ミュージカル『アニー』は、『今くら』を見て、『できるんじゃない?』と思ってくれたみたいで」

舞台のやりがいについては、「同じ役を1カ月ずっと追いかけていくというのはすごく勉強になるなと。舞台が一番芝居の勉強になると思います」と語った。


バラエティのおかげで認知度アップ! 歌唱力も話題に

1995年に「ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを受賞し、同年女優デビューした佐藤。芸歴28年となるが、女優業に対する思いは「何も変わらない」と言い、やりたくないと思ったことも「1回もない」と明かす。

「楽しいときもあれば仕事だなと思うときもあります。舞台は勉強という感じで、ドラマは瞬発力だし、映画は忍耐だなと。年齢を重ねても仕事に対する思いなどは全然変わっていなくて、セリフ覚えが悪くなったかな、くらいです(笑)。いつもどこかに楽しさを見つけてやれていて、やりたくないと思ったことは今まで1回もありません」

ずっと楽しく仕事ができている秘訣を尋ねると「そこまでガッツリやっていないというか、無理しないことが一番大事だと思います。あと、程よく遊んでいるからかなと。
遊びも大事です(笑)」と答えた。

バラエティで活躍している姿を見てバラエティタレントだと勘違いしている人もいると言い、「最近の若い子は私が女優だということを知らないんですよ。バラエティの人みたいに思っている人がけっこういて、もう慣れましたが最初はショックでした。バラエティの色のほうが濃くなっているんだなと」と笑った。

『今夜くらべてみました』で歌声を披露したことがミュージカル『アニー』につながったと話していた佐藤だが、さまざまなバラエティで歌声を披露し、反響を呼んでいる。

「歌はカラオケ止まりで、酔っぱらうと歌うけど、素面だと歌わない人なんです。
うまいとかではなく、喉が強いだけで」と謙遜するも、雑誌の企画で歌がうまい舞台女優として名前が挙がっていたことで「認められた」と少し自信を持てたという。

「何かの雑誌で『歌がうまい舞台女優』のところで1人だけ『佐藤仁美』と書いてくれていて、絶対にミュージカル『タイトル・オブ・ショウ』(2014)のことだと。それで、『舞台で私の歌が通用するの!? うれしい!』と自信になりました」

女優の仕事にもつながったバラエティ。認知度アップという点でもとても感謝しているという。

「名前と顔が画面に映ることで、もう得しているなと思いました。そこで認知してもらって、ドラマに出たときに『佐藤仁美だ』とわかってもらえるように。バラエティ色がつくとかありますが、それ以上にちゃんと芝居をすればそんなこと関係ないと思うので」

「無理に好かれる必要はない」アンチの声も気にせず

自分らしさを大切に思ったことを何でも話せる性格について、「言わないでストレスを溜めるほうが嫌だから」と話していたが、「常に『嫌われてもよくない!?』『無理に好かれる必要もなくない!?』と思って生きています」との考えも明かした。

「さらしものの職業ですし、好きな人が好きでいてくれたらそれでいいなと。無理しないことが一番だと思います」

SNS上でのさまざまな声も「全く気にしない」と言い、「むしろアンチコメントだけ返信しようかなとか」とニヤリ。「嫌われてもいい」と思っているから強くいられるのだという。

プライベートでの楽しみはお酒を飲むこと。夜から朝、昼まで10時間くらい飲み続けることもあるそうだ。

「年齢を重ねてもお酒の強さは変わらないんです。家では飲まず、バーで飲んでいます。次の日が休みのときに飲みに行っていて、仕事が忙しくても週2は行っていると思います。いろんな人としゃべるのが楽しんですよね。出会いもいっぱいあって、20代前半としゃべることなんてないので楽しいなと。『最近何が流行っているの?』と聞いたり。若い空気を吸って若返っています(笑)」

現在43歳。この先をどのように思い描いているのか尋ねると、「変わらずこのままがいいです。下手に目標も掲げたくないなと。しんどくなりそうなので」と答えた。

軸はあくまでも女優とのことだが、バラエティも引き続き出演していきたいという。

「バラエティはバラエティで楽しさがありますし、芸人さんたちは頭がいいので勉強になるなと。女優業に関しては、芝居っぽい芝居は最近少ないので、久々に役をもらえると新鮮で楽しさがあります」

最後にミュージカル『ヴィンチェンツォ』について、「ドラマのファンがいるので、イメージを壊さないようにしたいなと。これもありだなと楽しんでいただけるようになったらいいなと思っています」と改めて意気込みを語った。

同舞台は、8月11日~13日に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobe、8月18日~21日に東京・日本青年館ホール、8月25日~27日に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。

■佐藤仁美
1979年10月10日生まれ、愛知県出身。1995年に「第20回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを受賞し、同年ドラマ『海がきこえる~アイがあるから~』で女優デビュー。ドラマ『とと姉ちゃん』(2016)、『ひよっこ』(2017)、『教場』シリーズ、『女神の教室~リーガル青春白書~』(2023)、舞台『50shades』(2016)、『七転抜刀!戸塚宿』(2020)、『デストラップ』(2017)、ミュージカル『SUNNY』(2023)などに出演。『ウワサのお客様』などバラエティ番組でも活躍中。