●空手経験を活かし事前練習なしでキレキレアクション
ドラマなどで深みのある演技や切れのあるアクションを見せている一方で、昨年発売した1stフォト&スタイルブック『Bailar』では、ドキリとさせられるセクシーな大人の顔ものぞかせている山本舞香にインタビュー。「自分らしくいるのが一番」と語るデビュー以来変わらない仕事への姿勢と、「人生観は変わってきました」という近年の心境の変化について話を聞いた。


3月2日に開催された「第38回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2024 SPRING/SUMMER」では、ファッションブランド「SHEIN」のステージでランウエイを歩いた山本。

「『カッコ良くキメてください』と言われていたのですが、最初に笑ってしまいました(笑)。緊張したというよりも、みなさんの歓声を聞けたことがすごくうれしくて、思わず笑顔がこぼれてしまって『すみません!』という感じでした。以前、無観客のときもあったから、お客さんの顔が見られるのは本当にうれしかったです」と笑顔を見せる。

『忍者に結婚は難しい』『今日からヒットマン』『闇バイト家族』など、近作ドラマでキレキレのアクションを華麗にこなしてきた山本。空手の黒帯を持ち、以前から身体能力の高さに定評があるが「アクションのある役がたまたま続きましたが、アクションがすごく好きなのでうれしいです」と語る。

「私は空手をやっていたので、『何かやれるでしょ?』みたいなテンションなのだと思います(笑)。アクションは事前に練習などはしてなくて、当日現場でメイクなどの準備を全部終えてから、段取りに入った段階で初めてトライするという流れです。その場の演出で入るものだから“アクションやり慣れているな”といった“決められた感”は出てないんじゃないかなと。その分、お芝居としてのリアルさが出ていればいいなと思っています」

あのレベルのアクションを即座でこなせること自体に驚かされるが、山本も「私も思います」と悪びれずに笑う。

「普通は事前にアクション練習などをやるものだと思いますが、逆にそれぐらい私のことを信頼していただいているんだなと考えると、そこはうれしいです。たぶん今まで様々なアクション作品をやらせてもらってきて、いろんなアクション部の方と何度かお仕事をさせていただいてきたので、どのくらい動けるかというのを理解してくださっているかと」

○トレーニングはほとんどせず「本当に面倒くさがりなんです」

中でも『今日からヒットマン』で相葉雅紀演じる伝説の殺し屋の相棒・ちなつ役でのアクションは難易度が高かったようで「基本的には柔術だったんです。
人の肩で1回転したり、三角絞めをしたりして、なかなか手数が多かったです。それも事前の練習などはしていませんでしたが、そういったアクションをやるのはすごく楽しいです」と述懐。

アクションのスキルが高いだけに、普段から相当トレーニングを重ねているのかと思いきや「それが、してないんですよね。しなきゃいけないと思いますが、本当に面倒くさがりなんです」と申し訳なさそうに答える。

雑誌のグラビアなどでは美しい腹筋やくびれたウエストなどが大きな反響を呼んでいるが「食べなきゃいいんですが、私はけっこう食べるので、食べちゃうとお腹がぽよんとなっちゃいます。今日はまだ何も食べてなくて、コーヒーだけです」とおちゃめに笑う。

「ジムなどにも通えないことがわかっているからあまり契約などもしてなくて。たまにキックボクシングなどに行きますが、最後に行ったのも2年前くらいかと。格闘家の友達がいるので、ジムに遊びに行かせてもらったりするくらいです。あとはサウナに行くと、ちょっとだけ腹筋や腕立て、背筋などをしたりしますが、がっつりはやらないです」

「ふとした瞬間にお芝居が楽しいなと思うように」


現在26歳。デビューから12年以上経ち、女優業に対する思いや向き合い方に変化はあるのだろうか。

「昔は監督さんたちから言われた通りにやることがすべてでしたが、今は台本を読んで、自分のやりたいと思うお芝居について考えるようになりました。
役になりきったことを想定し、この子ならどういう仕草をして、どういう行動をするだろう? と考えていることが楽しくなってきました」

そうなったきっかけについて聞くと「具体的な作品というよりは環境の変化でしょうか」と答える。

「自分の中で、何かふっ切れたというか。何かが原因になったというよりも、ふとした瞬間に、お芝居が楽しいなと思うようになりました。10代の頃は言われた通りにやるだけでしたが、成人して20代になり、すべてにおいて自覚を持って動かなきゃいけないとなり、仕事に対しての気持ちも全然変わっていきました」

その分、プレッシャーも増えていったそうで「特に大先輩とご一緒させていただくと緊張感が半端ないです。私は緊張すると真顔になっちゃうから、よく『機嫌が悪いの?』と思われたりしますが、まったくそんなことはなくて。普段からよく『あまり緊張しているように見えない』と言われますが、実はしっかりと緊張しています!」と、そこはしっかりとアピール。

インタビューや舞台挨拶などでは、常に質問に対してストレートに素直な思いを語ってくれる印象のある山本だが「いつも素に近い感じです。自分を作らないというか、あまりいろんなことを気にしないようにはしています。もちろん失礼なことを言わないようにと気をつけてはいますが、やはり自分らしくいたいし、仕事を好きでいたいから。私はそうやって12年間やってきました。だからあまり自分を隠さないし、何を聞かれても基本的には答えます」と凛とした表情を見せる。

○人生経験が「お芝居に活かせたら」 人間関係の変化も語る

ここ数年の人生観などの変化についても尋ねると、「人生観ですか……」と少し考えたあとで「人付き合いというか、人間関係はけっこう変わってきました」と答えてくれた。


「ちゃんと人を見て『この人、本当はこうだったのか』とか『この人はこう考えてそうだな』とか、人の心理が見えてくるようになったというか。お芝居をしていると、いろんな人の感情になるので、『こういうタイプの人はきっとこうなんだろう』と、相手の目を見ながら思うことがけっこうあります。だから友達は多くないですし、特にプライベートで会う人は限られるようになりました。今は人間関係の変化がある時期なのかなと思います」

それは、大切な人と深く付き合っていくという方向性でもあると思うが「たとえ深く付き合っても、いつか何かで裏切られたり、傷つけられたりするんじゃないかと思うこともけっこうあります。やはり長く付き合っていくと、本当にいろんな感情になるし、今はすごく環境の変化というか、周りの人間関係の変化がすごい時期なんだなと思います」と赤裸々な思いを告白。

そういう感情の波が女優としての肥やしになっているのでは? と聞くと「そうなんです!」とうなずき、「いろんなことがあるたびに、こんな気持ちになるんだと思ったりしますが、そういう演技に活かせるような感情だったりするのかなと。勉強になるという言い方が合っているのかどうかはわかりませんが、お芝居に活かせたらいいなと思っています」と前向きに語る山本。

最後に、今後の目標や抱負について尋ねると、「毎年同じですが、キャストさんやスタッフさんと素敵な作品を作れたらいいなと。ドラマも控えているので、まずは作品としっかり向き合い、応援してくれている方々に良いものを提供できたらいいかなと思っています。もっともっと勉強しなきゃと」と真っ直ぐな視線で語ってくれた。

■山本舞香
1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。小学校1年で空手を始め、黒帯の実力をもつ。
2011年、大手企業広告でCMデビューし、同年のドラマ『それでも、生きてゆく』で女優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『家政夫のミタゾノ』『Sister』(22)、『忍者に結婚は難しい』『帰ってきたぞよ!コタローは1人暮らし』『今日からヒットマン』『闇バイト家族』(23)、映画『カラダ探し』(22)など。2023年10月に1stフォト&スタイルブック『Bailar』を発売。
編集部おすすめ