アメリカと日本の2拠点生活から、今年1月に本格的に拠点を日本に移した俳優・小出恵介。2月20日には40歳の節目を迎え、改めて日本での活動に力を入れていく覚悟を決めた。
――本格的に拠点を日本に移した思いをお聞かせください。
昨年から日本に拠点を移しつつありましたが、お仕事関係の方や知り合いと話していると、皆はまだ僕がアメリカにずっと住んでいると認識しているような気がして、ここでしっかりと日本にいるということをお伝えできたらと。また新たに日本で頑張っていくぞという強い気持ちで、本格的に拠点を移しました。
――40歳を迎えていかがですか?
自分が40歳というのが信じられないですね。この仕事をさせてもらって20年ぐらい経ちますが、自分が思い描いていた40歳とは違います。もっと大人っぽい40歳を想像していました。40歳は大台感もありますが、あと30年ぐらい役者として仕事をしたいと思うとまだ折り返してないなと。そう考えると、まだまだできそうだなという感じがします。
――まだまだここからだぞと?
そうですね。
――思い描いていた40歳と違うとおっしゃっていましたが、仕事面ではいかがでしょうか。
もっとベテランっぽくて、仕事を絞ったりするような40歳を思い描いていましたが、いろいろな都合や生活の変化を経て、ここからチャレンジしていくという強い気持ちを持ったまま40歳を迎えました。フレッシュな気持ちもありつつ、ある程度のキャリアも経験させていただいている、ちょっと不思議な状態なんだろうなと思います。
――あえて挑戦心を持ち続けようという意識もあるのでしょうか。
自然に、ですね。前だったら選んでなかったかもしれないジャンルや役柄にも挑戦したいと思うようになりました。そうすることで違うスキルが身について幅が広がるのではないかという期待もあり、楽しみだなとワクワクしている自分がいます。
――フレッシュな気持ちというのは、活動休止されていた時期もあったからこそ?
そうですね。あのまま進んでいたらベテランっぽい風を吹かせていたかもしれません。チャレンジ精神が強いフレッシュな40歳になり、今の状態がありがたいし、面白いなと感じています。
○ファンクラブを通じてアメリカでの経験も「お伝えできたら」
――4月6日12時からファンクラブが始動しますが、開設を決めた思いを教えてください。
ここからまた新たなスタートを切るタイミングで、事務所の方からの提案もあってファンクラブを開設することにしました。アメリカ生活で培ったものを日本で活かしていけたらという思いもあり、そういう発信をするのにもいい場所だなと思います。
――ファンクラブ名は「Keisuke Luncheon Klub ~Universal Axis~」に。「Universal Axis」というテーマには、国を超えた(universal)視野に基づく個の軸(axis)を形成する環境を作るという意味が込められているそうですが、このテーマを掲げた思いをお聞かせください。
未来を考えて国際的なビジョンも持ちたいと考えた時に、自分は何かしら活かせるものがあるなと。アメリカで生活してきて、あらゆる日本との違いが新鮮に感じたので、そういった経験をお伝えできたらなという思いがあります。
――5年超のアメリカ生活でご自身はどう変化したと感じていますか?
こうでなきゃいけないという部分が減りました。向こうは年齢をあまり話題にしないですが、日本はこの年齢だったらこうあらねばいけないという、求められる役割が多い気がします。その物差しが窮屈に感じるというか、もっと自分のやりたいことをやりたいようにやっていいなと思うようになりました。
――何歳からでもチャレンジしていいんだと思えるように?
向こうは勇気を出してチャレンジするのではなく、それが当たり前なんです。例えば、向こうの演技の学校に行ったら、60~70歳の方も多くて、第二の人生で役者を始めるんだと。
幅広い仕事に意欲 テレビに映る姿も「もう一度見ていただきたい」
――新たなスタートを切る40歳とのことですが、どんな一年にしたいと考えていますか。
いろいろな仕事がしたいですし、またテレビの仕事もさせていただきたいなと。去年ぐらいからそういう話が少しずつ出ていて、今年出られたらうれしいなと思っています。
――やはりテレビのやりがいは大きいのでしょうか。
そうですね。自分が主に活動していた場所の1つなので、そこで自分の姿を絶対にもう一度見ていただきたいいですし、活動の幅という部分でもまたやれたらいいなと。最近は配信系も増えていてそれぞれの魅力がありますが、テレビにはテレビにしかない魅力があると思うので。
――テレビ離れと言われていますが、テレビの反響は大きいですよね。
大きいと思います。そして、お茶の間というのは、サブスクリプションとは違う場所な気がします。
○舞台のやりがいも実感「本番の醍醐味がすごくある」
――近年は舞台や映画で活躍され、今年は5~6月に3つの舞台に出演されます。
舞台に復帰したのが2022年の『群盗』という作品で、久々の舞台だったので最初は緊張しましたが、本番の醍醐味がすごくあるなと感じました。お客さんの空気を感じられるというのもうれしいですし、撮り直しができないという意味では映像より厳しいなと。何があっても進めないといけないという覚悟が必要ですよね。
――撮り直しができないという舞台の厳しさによって鍛えられた部分はありますか?
舞台を重ねているとたくましくなるなというのはすごく感じています。いろいろな役柄にも挑戦させていただき、それがストックになっていきますし。あと、舞台は全身を使って表現するので、全てを見られているという緊張感もあります。映像と舞台でコツが違うので、両方ともずっと関わらせていただきたいです。
――3本の舞台はあまり間がないので、準備が大変そうですね。
今絶賛3本覚え中ですが、3本の台本を入れるというのは初めての挑戦で楽しいです。新しい挑戦は楽しいので。
――先ほど40歳の抱負を伺いましたが、さらにその先をどのように思い描いていますか?
魅力的な役者になっていきたいです。そのためにもいろいろな経験をして、演技の表現に乗せていけたらなと思います。
――今はフレッシュ感が強いとのことですが、いずれはベテラン感も出ると思いますか?
無理に若くいようとする必要はないので、いずれはそうなると思いますが、今は謎の新人感がありますね。全部にウキウキワクワクしていて楽しめていて、その気持ちも大事だなと感じているので、これからもそれは持ち続けたいです。
結婚で意識変化「もっと立派にならないといけないなと」
――昨年1月に結婚されてから1年経ちましたが、結婚後の変化もお聞かせください。
頼りになる人間でいなきゃいけないという自覚が芽生えました。自分だけだったらいろいろな意味で楽ですが、結婚してからはちゃんとしなきゃいけないという思いが出てきて、それがいい形で自覚に繋がっている気がします。
――仕事にもプラスになっているなと感じる部分はありますか?
1人の時よりも仕事に集中しやすくなりましたし、やる気も高まった気がします。家を代表するという風に考えると、もっと立派にならないといけないなと感じています。
○海外生活を経験し「挑戦へのハードルが下がった」
――今後の活躍を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
ファンクラブは初めての経験ですし、これからもいろいろ新しいことに挑戦していけると思うので、ファンの方にも楽しんでいただけたらうれしいですし、自分自身も変化していく自分に置いていかれないようにしないといけないなと思っています。
――ファンクラブではいろいろなコンテンツやイベントなどを計画されていくそうですね。
せっかくこういう場所を設けるので、いろいろな機能を足していけたらなと思っています。そして、海外に挑戦するハードルを下げられたらいいなという思いが強くあり、日本から海外に行く人のことを応援したいなと。
――奨励したいという思いが強いというのは、アメリカでの経験がご自身に与えた影響が本当に大きいんだなと感じます。
30代中盤で5~6年間過ごし、そこで形成された部分は大きいと思います。年齢にとらわれなくなったというのもそうですし、国を超えて挑戦するのは当たり前のことなんだという意識になりました。
――挑戦するハードルが下がったというか、何でも挑戦できるというマインドに?
一番大きい挑戦をしたので、臆病でなくなったというのはありますね。視野も広がり余裕も出て、挑戦へのハードルは下がった気がします。自分にとってとてもいい経験になったので、海外に行きたいと思っている方はあまり構えずぜひ挑戦してほしいです。
■小出恵介
1984年2月20日生まれ、東京都出身。映画『パッチギ!』(2005)で注目され、その後数々の話題作に出演。2018年10月より米ニューヨークに拠点を移し、2020年より日本での芸能活動を再開。2021年7月、ABEMA『酒癖50』で4年ぶりにドラマ復帰。2023年2月には主演映画『銀平町シネマブルース』で本格的に映画復帰を果たし、同年6月公開の映画『魔女の香水』にも出演。舞台にも精力的に出演し、今年は5月2~4日に『瀧廉太郎の友人、と知人とその他の諸々』、5月17日~19日に『赤いハートと蒼い月』、6月5日~9日に主演舞台『ジャックモーメント』が控えている。
ヘアメイク:永瀬多壱 スタイリスト:佐々木敦子