現在公開中の、映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』。ハリウッド版『ゴジラ』シリーズと、『キングコング』シリーズの壮大な世界観がクロスオーバーする、「モンスター・ヴァース」シリーズの最新作で、すでに北米で大ヒットを記録している。


今回は、探査機ヒーヴのパイロット・ミケルの日本語吹き替えを担当する空気階段・鈴木もぐらにインタビュー。鈴木が接してきた『ゴジラ』の思い出、そして今回の『ゴジラxコング』に感じた意外な魅力について話を聞いた。

○映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』声優として参加する空気階段の鈴木もぐら

――元々、ゴジラシリーズについてはどのように接していたんですか?

僕が子供の頃、90年前半ぐらいに『ゴジラVSモスラ』とか『ゴジラVSキングギドラ』とかが放映されていました。近所のスーパーの2階が映画館になってまして、保育園とか小学校の前に謎のおっさんが立ってて、割引き券を配ってたんですよね。あれ、何だったんだろう? それをもらって安く観に行っていた思い出があります。

大人になってからは、やっぱりパチンコのゴジラシリーズ。特に最新の『ゴジラ対エヴァンゲリオン』。これには本当に衝撃を受けましたね……。初めて観た時には、ゴジラ側もエヴァンゲリオン側もすごいなと思いました。懐が深いです。「よくコラボしたな」「パチンコで打たせてくれたな」って。だって、ゴジラとエヴァの初号機が協力してキングギドラと戦うみたいなリーチがあるんですよ! あと、綾波レイがキングギドラに洗脳されちゃって。
僕らは「ギドラレイ」と呼んでたんですけど、ああいうのはすごいなと思います。映像もすごくて、エヴァンゲリオンの第三新東京市に、使徒じゃなくてキングギドラが来て戦って。

ただ、僕自身は相当負けてますけどね。それでも打ってたから、やっぱりその思いが通じたのかもしれません。でかいゴジラの役物がいて、チャンスの時にゴジラがうわっと吠えて、僕の脳に向かってビームを吐くんですよ。「わあ~っ!」ていう。相当ビーム食らってますからね。

――そのビームを食らってきたもぐらさんが、声優で出演することになるとは……。

うれしいですね。勝手に、全パチンカーの代表のような思いというか……『ゴジエヴァ』が好きなみんなの思い、背負わせてもらいました。

――今回参加されたのも『ゴジラxコング』という、コラボ作品で。

ゴジラとコングがコラボするという大迫力の作品でした。
冷凍ビームを吐くシーモが出てきた時は、本当に震えました。「こんな化け物、コングも倒せないよ!」と思って。でもそれがどうなっていくのか見ていただきたいですけど。

――シーモの冷凍ビームがパチンコになったらどうでしょうか?

あいつが出てくる可能性は、ありますよね。でも、そんなに強いリーチはしなさそうですね。たぶん、信頼度7%ぐらい。スカーキングは熱そうです。あいつが出てきたら、信頼度で言うと60%ぐらいはあります。僕の演じたミケルは、正直信頼度0.2%ぐらいしかないと思います(笑)
○グルメ映画のような視点で『ゴジラxコング』を語る

――実際に、今作の見どころについてはいかがですか? 「ぜひ見てほしい」というシーンを教えてください。

やっぱり、私の演じたミケルのシーンを見ていただきたいですね。ミケルからとりあえず目を離さないでほしいです。目を離しちゃうと、「あれ!?」となっちゃうかもしれないので……。
詳しくはちょっと言えないんですけど、とりあえず目は離さないでいただきたいです。

あとは、設定にすごくワクワクしました。海の中に地下空洞世界への入り口があって、そこには地下世界の文明があって。冒頭から最後までノンストップで見れる、めちゃくちゃいい娯楽映画じゃないですか。デートにもお勧めできるし、家族でもお勧めできるし、嫌なことがあった人にも、いいことがあった人もお勧めできる。子供もおじいちゃんおばあちゃんも見てもらって楽しめると思うし、こんなに全部全員がちゃんと楽しめる作品ないですよ。やっぱりそこに怪獣映画の魅力があると思いました。

――プロレス感もあるのかなと思いましたが、そこら辺の魅力はいかがですか?

そうですね! ちゃんと両方のターンがしっかりあって、技を食らった後にやり返すとか、相手の技を受け切って倒すというプロレス的な魅力がありました。コングとかの動きも、「本当に人が入ってんじゃねえか」というくらいのリアルな動きで、劇場で観ていただきたいですよね。今はもうすごいじゃないですか。4Dとか4DXとか、ああいうので観てほしいですよね。

もし『ゴジエヴァ』とか、競馬とかで勝ったりとかして「今日贅沢しようかな」と余裕のある方は、通常スクリーンから4Dにランクを上げるみたいな形で、ちょっとした贅沢を使ってみてほしいです。
「1,000円ぐらい贅沢したいけど、どうしようかな」みたい時あるじゃないですか。それはぜひこの『ゴジラxコング』で贅沢するといいと思います。

――コングパートの、「言葉がないのに物語がわかる」という面白さについてはいかがでしたか?

あれはすごいですよね。セリフなしで分からせるのって相当難しいと思うんで、制作の方が本当に頑張ったんだろうなと。コントとかも、100人見たら100人とも「これってこういうことだよね」とわかってもらわなきゃいけないんで、苦労がわかります。

途中からは大分セリフのないシーンが続きますし、それで観客が置いてけぼりになっちゃうかもしれないのに、「そうさせない」という。めちゃくちゃ会議とかしたんじゃないですかね? 「これだと意味わかんないでしょう!」「いやさすがにこんぐらいやっとけばわかる!」みたいな。たぶん、いろんな葛藤があってのシーンになってるんじゃないかなと思いました。

あと、蛇うまそうだったな~。蛇っていうか蛇魚ですかね? うまそうでしたね、あいつ。血は緑なんですけど、肉の感じとか。コングが肉の塊を“ジュルリ”としていて、どういう構造なんだろう? 食べたくなりました。


――そのシーンも吹き替えられそうなくらいリアルな肉のすすり方をされますね。

普通の肉じゃなかったですよね。普通にがぶってそのままくわえた分が取れるんじゃなくて、肉の集合体みたいな感じで。ぐっとやったら一部分がペロッと取れて、ジュルリ……みたいな。あれ、うまそうだったなあ。

――いや、でもまさかそこをそんなグルメ映画みたいな感じで見ていらっしゃるとは。

やっぱり、あれを見るとどういう味がするんだろうと思うし、もし映画館で「蛇魚ホットドッグ」みたいなのあったら買います。「蛇魚定食」とか。
○ゴジラが支持される理由を推測「閉塞感をぶち破ってほしい」

――昔のゴジラ映画も観られていたとのことですが、思い出のあるゴジラ作品はありますか?

やっぱり、『ゴジラVSモスラ』です。私、本当にモスラが大好きなんで。幼虫もかわいいですし。特に僕が好きだったのは2人組(小美人)の歌(「モスラの歌」)。
あれが忘れられないし、あの歌で子供を寝かしつけたりしましたからね。トントンしてたら、自然と出ちゃう。あれは相当みんなの脳に残ってますよね。勉強になります。多分、ギャグとかもそういう「脳に残っちゃう」ってことが大事なんですよ。今回もモスラが出てきて、かわいかったです。“強かわ”というのがいいですよね。

――それだけ思い出もあるというゴジラですが、『ゴジラ x コング』も『ゴジラ-1.0』も大ヒットして盛り上がっているところに参加されることについてはいかがですか?

今のゴジラ攻勢の一端を担えるというのはすごい光栄です。破壊神ですからね。ゴジラが皆さんに支持される理由に、痛快さみたいなところもあるんじゃないかなと。みんな、閉塞感をぶち破ってほしいと思ってるんじゃないですか?

本当に街を壊されたら困るんですけど、作り物として壊されるとワクワクするんでしょうね。「自分のとこがぶっ壊された!」みたいな。やっぱり壊されることによって得られる安心みたいなの、あるじゃないですか? 「平和でよかったな」と再確認させてもらえる。だって、実際にゴジラが出たら怖すぎますよね。特に、光線が怖すぎるんだよ! 『シン・ゴジラ』もビルとか全部燃えてやばかったですし。みんなどこかでリセットボタン願望みたいなものがあって、フィクションの中でそれを託せる存在なんでしょうね。

■鈴木もぐら
1987年5月13日生まれ、千葉県出身。2012年に水川かたまりとお笑いコンビ・空気階段を結成。2021年にはキングオブコントで優勝するなど話題に。俳優としても活躍の場を広げ、2023年にはドラマ『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』、2024年にはドラマ『PORTAL-X ~ドアの向こうの観察記録~』にレギュラー出演している。

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