ディー・エヌ・エー(DeNA)の子会社であるアルムは6月21日、医療およびヘルスケア領域における生成AIエコシステムプロジェクトを開始したことを発表した。このプロジェクトは、内閣府が主導し国立国際医療研究センターが管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期補正予算「統合型ヘルスケアシステムの構築における生成AIの活用」テーマ3(以下、SIP)に対し、同社を代表機関とした共同提案の申請を行い採択されたもの。


医療や介護現場で生成AIを活用することで、業務の効率化や診断精度の向上、医師の働き方改革、医療過誤の防止、地域格差の是正といったさまざまなメリットが期待できる。しかしその一方で、未学習の症例の見落としや診断精度が低い場合の誤診などのデメリットへ留意する必要がある。これに対し、以下の3つに取り組むという。
○質の高い医療データの生成AIへの提供

国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)である国立がん研究センターなどは、アルムが提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join(ジョイン)」を用いて、地方医療機関を問診・医療画像・検査データ・遺伝子等のデータに基づく遠隔診療によって支援してきた。

SIPでは、これらの日本全国の医療機関の希少疾患や難病を含むさまざまな実臨床の医療データについて、患者から個別に電子同意を得て蓄積し、生成AIに最新の最高品質の医療データを提供する。

○生成AIの出力に対するモニタリング・是正データの提供

東京慈恵会医科大学や各ナショナルセンターの専門医が各研究テーマと連携して、「Join」にチャット形式で実装される生成AIの有用性を検証する。
研究支援・協業・オープン化・規格整備などに取り組み、行政や患者団体や学会などとの連携も視野に入れる。

さらには、社会実装モデルとして、生成AIの出力に対するモニタリングおよび是正内容を、生成AIの研究機関、生成AIベンチャーやグローバルIT企業への提供していく予定。
○生成AIによる診療支援や保健行政支援を通じて医療・介護現場に安心・安全・簡便な利用環境を提供

アルムは医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」の他、PHR(Personal Health Record)アプリ「MySOS(マイエスオーエス)」、多職種連携システム「Team(チーム)」を医療現場や患者に提供している。

SIPでは、これら既存のアプリに他のSIPプロジェクトで開発される生成AIを導入し、各種届出書類、指定難病や身体障害者手帳の取得に必要となる意見書の作成など、専門医の文書作成支援ソリューションの開発を行い、作業負担軽減を目指す。