大山名人杯第32期倉敷藤花戦(主催:倉敷市・倉敷市文化振興財団・山陽新聞社)は4回戦が進行中。6月24日(月)には野原未蘭女流初段―内山あや女流初段の一戦が東京・将棋会館で行われました。
対局の結果、力戦調の相掛かりから抜け出した内山女流初段が112手で勝利。3年連続となるベスト8進出を決めています。
○二十歳の決戦

ともに2020年プロデビューの同世代対決となった本局は先手の野原女流初段が得意の力戦相掛かりに持ち込んで幕を開けました。早繰り銀の要領でスルスルと銀を前進するのがその特徴で、角道を開ける手を保留することにより敵角のさばきを抑える意味があります。

後手の内山女流初段が選んだのは堂々とした中住まいの陣形。横歩を取り戦端を切ったのは自陣の形に注目した踏み込みで、金銀の連携がよいこの瞬間であれば飛車角交換も痛くないと見ています。
野原女流初段が2枚目の飛車を手にした直後に分岐点がありました。

攻めさせて勝つ内山流


野原女流初段は自陣に重ねた二枚飛車からの猛攻に期待しますが、感想戦では「我慢が足りなかった」と振り返ることに。2筋突破のためには飛車金交換の駒損を受け入れる必要があり、指しすぎの感は否めません。代えては自陣に手を戻し息長く指す方針が優ると結論付けられました。

優位に立った内山女流初段は手筋を駆使して反撃開始。8筋に放った手裏剣の歩が激痛で、これを取ると玉頭の急所にと金を作る狙いがあります。
終局時刻は13時47分(持ち時間各2時間)、粘りにやや手を焼きながらも野原玉を寄せ切った内山女流初段が勝利。

全体を振り返ると、飛車を渡すことで相手の無理攻めを誘発してから自然な指し手で優位を拡大した、内山女流初段の老獪な指し回しが光る一局となりました。内山女流初段は次戦でベスト4入りを懸けて室谷由紀女流三段と対戦します。

水留啓(将棋情報局)