Netflix『First Love 初恋』(22)や先日最終回を迎えたTBS系ドラマ『9ボーダー』などで存在感を残し、注目を集めている俳優の木戸大聖が、7月1日に1st写真集『HANA-UTA』(ワニブックス)を発売。様々な表情を捉えた数々の写真に加え、生い立ちや俳優としての道のりなどもつづられている。
2017年7月にトライストーン・エンタテイメントに所属し、芸能活動を始めてから7年。ターニングポイントになった作品は『First Love 初恋』だと木戸は語る。
「出会ってきた作品すべてそうですが、役者として考えたら『First Love 初恋』に出合って、日本だけでなく海外の人にも見てもらって、すごく大きな転換期になったと思います。役者として胸を張って『代表作です』『これを見てください』と言えるものができたのは、その作品からだったので」
『First Love 初恋』の反響は想像以上だったという。
「日本の方もそうですが、海外の人にこんなにもこの作品が刺さったというのは驚きでしたし、海外の著名人の方も反応してくれて、そこまでは予想してなかったのでびっくりしましたし、自分を見てもらえる作品ができてうれしかったです」
この作品を機に、俳優としてさらに頑張っていきたいと決意を新たに。
「花火に例えるなら、これを何発も打ち上げているのが今の一線で活躍されている方なんだなと思うと、すごいことをされているなと改めて思いましたし、自分もここで満足せず、『First Love 初恋』に上書きというか、そういうものをどんどん作品として作っていかないといけないなと。もっともっと反響をもらえる作品を作っていきたいと思いました」
今は、「代表作をどんどん塗り替えていきたい」という思いで一つ一つの作品と向き合っているという。
「時間が経てば経つほど、『いつまでこの作品を(代表作として)言っていくんだろう』と。Netflixなので遅れて見てくださる方もいますし、もう違うドラマをやっているけど、まだ『First Love 初恋』のイメージなんだと思うと、もっともっとアップデートしていかなきゃなと思いました。もちろん見てもらえてうれしいんですけど」
○『ゆりあ先生の赤い糸』『9ボーダー』の反響も実感
その後、テレビ朝日系ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』やTBS系ドラマ『9ボーダー』などでも存在感を示して話題に。木戸自身、地上波の反響の大きさを感じ、代表作の上書きもできているのではないかと手ごたえを感じている。
「テレビ離れと言われていますが、やはりドラマを見ている方はしっかりいますし、リアルタイムで反応がわかるというのはテレビドラマならではだなと思います。『ゆりあ先生』や『9ボーダー』をきっかけに知ってくれて、後から『First Love 初恋』を見るという方もけっこういるので、そういう意味では上書きできているのかなと思います」
飛躍を遂げる中、自身の成長や変化はどのように捉えているのだろうか。
「毎回演じる役も違い、共演する方もスタッフさんも違うので、毎回作り上げて、クランクアップしたらそれを壊してまた0から積み上げるという作業をしていますが、その繰り返しによって、今までテレビで見ていた方とお芝居するときの度胸や、ぶつかっていく精神力は得られたと思いますし、積み上げていくスピード感も少しずつ変わってきたと思います」
特に緊張した先輩俳優として、『万博の太陽』(テレビ朝日)で共演した唐沢寿明を挙げ、「負けちゃダメだと思いましたが、昔から見ていた方なので緊張しました(笑)。でも役柄的に自分のお見合い相手のお父さんで、緊張があってよかったので、 そこは逆に生かせていたかなと思います」と振り返った。
視聴者として作品から力をもらってきた木戸が、多くの人に力を与える立場に。
「いろんな方が作品を見てくださって、『仕事が大変だったけどドラマを見て楽しめました』とか『また頑張ろうと思いました』といった感想をくださると、日々の癒やしになるんだなと。自分もドラマが大好きで、毎週の楽しみで育ってきたので、そういう力がお芝居にはあると思うと、もっともっと頑張りたいと思いますし、自分が力をもらってきた側から与える側、そして与えていかなきゃいけない側になったんだなと思います」
自然体を大切に 負けず嫌いな性格も明かす
写真集でさまざまな表情を見せている木戸だが、ブレない自分らしさとして“自然体”を大切にしているという。
「お芝居も『何も意識せず自然体でいるのが一番いいよ』と言われることが多いんです。役を演じているけど、ちゃんと自分のフィルターを通して、自分とかけ離れたものをやろうとせず、そこにいるほうが良さが出るということだったので、どんな髪型やどんな景色、どんな時間帯だとしても、自分が旅を楽しむとか、ちゃんと自分でいてカメラを意識しすぎないようにしています。かっこつけている自分は嘘だなと思うので」
自然体でいられるようになったのは「ここ数年」とのこと。
「昔はもっと人見知りでしたし、作っている部分がありました。でも、自分のままでいるほうがいい評価をもらえるし、自分としても疲れないなと。相手も最初の印象と違って裏切られたとなるより、初めから自分のありのままを見てもらうほうがいいと思うようになりました。
また、自身の性格は「負けず嫌い」だと捉えている。
「意外と熱すぎるというか、悔しさが如実に出るタイプです。それがたまに足を引っ張ることもありますが、個性かなと。18歳からお芝居に関わらせてもらっていましたが、デビューは20歳で、スタートラインに立てない2年間があったので、そこでそういうマインドが生まれたと思います。自分より年下や同い年の子がもうドラマに出ていて、自分はまだテレビで見ている側というのがすごく悔しかったので」
悔しさをバネに着実に俳優として存在感を高めている木戸。ここから芸歴8年目に突入するが、初心を大切にしていきたいと語る。
「お芝居だけでなく、いろんな経験をさせてもらってきた7年間の中で、人との関わりだったり、そこへの感謝だったり、初心を忘れないというところは、経験を重ねてきた時ほど忘れてはいけないなと思います。作品ごとに毎回新鮮な気持ちで現場に行くこともそうですし、新しく出会うスタッフさんや共演者の方へのリスペクトは、初めに持っていた感覚を忘れないようにしていきたいです」
小栗旬のように「背中で語れる人になっていけたら」
所属事務所の先輩で社長でもある小栗旬からも、俳優としてのマインドなど刺激を受けているという。
「小栗旬さんは満足してない感じがすごくするんです。あのクラスになっても、野心や向上心がすごいなと。僕ら後輩からしたら本当に追いつけないなと思わせてくれる、そういう先輩が近くにいるので、僕も今後後輩ができたら、背中で語れる人になっていけたらいいなと思います」
小栗とは「ゴルフの話などしていて、仕事の話はほとんどしない」とのことだが、「気にかけてくださっているのはすごく実感しています」と温かい目で見守ってくれていると感じているそうで、「言葉ではなく背中で見せてくれている感じです。追いつくのは大変ですけど、追いかけたいです」と語った。
写真集では家族についても語っているが、両親からはよく「周りの人に感謝しなさい」と言われるそうで、感謝の気持ちを大切にしているのは両親譲りのようだ。
そして、小栗同様、父親も目標とする存在だという。
「父親が後輩の方に慕われているという話を母親から聞いたりしていて、すごくかっこいいなと。同じ男として尊敬する部分があるので、自分もそういう大人の男性になりたいなと思っています。父親が常にどっしり前にいてくれているので、息子が父親を抜くみたいな話がありますが、うちにおいてはそう抜かせないというか、逆にこの人みたいになっていきたいと思っています」
活躍している木戸の姿を家族もとても喜んでいるようで、「基本的にドラマはリアルタイムで見てくれるし、父親は家族の前ではあまり多くを語る人ではないんですけど、母親から聞く限り、外ではすごく息子の話をしているみたいで、喜んでもらえているというか、ちょっと自慢できる部分があるんだったら、僕はこの仕事ついてよかったなと思います」とにっこり。
さらに、「お仕事をする時間が増えて、プライベートの時間が少なくなっていますが、好きなことを楽しんでやっているので、お仕事に行かなきゃという感覚はほとんどありません」と充実した表情を見せ、具体的な目標を尋ねると「ドラマの主演をやっていきたいという思いもありますし、NHKの朝ドラに出たいです」と語ってくれた。
■木戸大聖
1996年12月10日生まれ、福岡県出身。2017年俳優デビュー。その後、2018年から3年間、NHK BSプレミアム『おとうさんといっしょ』にレギュラー出演。21年春に同番組を卒業後、ドラマや映画、舞台等で活躍。23年7月、映画『先生!口裂け女です!』で映画初主演。同年8月、『僕たちの校内放送』で連続ドラマ初主演。
ヘアメイク:速水昭仁 スタイリスト:田中トモコ(HIKORA) 衣装協力:パラブーツ青山