そこで、まずは「こんな制度があるんだ」ということを知ることが大事です。助成金をもらうには、そのための要件を満たす必要があるので、要件もしっかり確認しておきましょう。あわせて申請方法もお伝えします。もらえるものはしっかりもらって家計の助けにしましょう。
申請しないともらえないお金15選
あまり知られていない助成金・補助金を中心に15個選んでいます。自治体の制度は、ここで紹介した自治体以外でも実施している場合があるので、気になる制度があればお住まいの自治体の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
また、要件なども含め一部を紹介していますので、詳細は各自治体の専用ページにて確認してみてください。
1. 給湯器を新しくする
給湯器が古くなったので、高効率な給湯器に変えようと思っている人は補助金の申請をしてみましょう。給湯器の種類によって1台につき8万円~18万円の補助を受けられる可能性があります。
本事業の予算には上限があるため対象の方は早めに申請しましょう。
【制度の名称】給湯省エネ2024事業
【補助金額】給湯器の種類に応じて8万円~18万円(性能に応じた加算あり)
【要件】給湯省エネ事業者と契約して、対象となる高効率給湯器の設置工事を行う
【対象機器】ヒートポンプ給湯機(エコキュート)、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)など
【申請方法】申請は給湯省エネ事業者が行うため、「給湯省エネ2024事業」サイトから、補助金利用を相談できる事業者を検索
2. 自宅の鍵を交換する
犯罪を未然に防止するために、自宅の鍵を防犯性の高い鍵に交換したり、防犯カメラを設置したりした場合に、自治体から助成金が支給されます。
<東京都葛飾区の場合>
【制度の名称】住まいの防犯対策助成
【助成金額】対象経費の2分の1を助成。上限4万円
【要件】対象となる防犯設備(要件あり)を購入して設置
【申請方法】必要書類をそろえ、危機管理課の窓口に持参または郵送で申請
3. 自転車のヘルメットを購入する
2023年4月からすべての自転車利用者に対し、自転車用ヘルメットの着用が努力義務化されました。これに伴い、ヘルメットの着用促進を図るため、自治体によっては購入費の補助を行っています。
<神奈川県相模原市の場合>
【補助金額】上限3,000円。1人1個まで
【要件】SGマークなどの安全基準を満たした新品の自転車用ヘルメットを購入して申請
【申請方法】領収書が発行できる店舗でヘルメットを購入。自転車利用ハンドブックで学ぶ。市のホームページから申請
4. 子どもの紙オムツを購入する
子育て支援として、紙オムツやおしりふきなどの子育て用品の購入補助を行っている自治体があります。ひと月1,000円~3,000円程度かかるオムツ代は、オムツが取れるまで際限なくかかってくるので、家計への負担は意外と大きいものです。
ちなみに、自治体の中には紙おむつを無料で毎月自宅まで配送する「紙おむつ等宅配事業」を行っている自治体もあります(例:神奈川県厚木市)。
<神奈川県中井町の場合>
【制度の名称】子育て応援紙オムツ補助事業
【補助金額】最大5万4,000円(3,000円×18回)
【対象者】妊娠34週以降の妊婦、生後1か月から1歳6か月未満の子どもを養育している世帯
【申請方法】申請書を自治体に提出
5. チャイルドシートを購入する
道路交通法によって6歳未満の乳幼児にはチャイルドシートを使用することが義務化されています。チャイルドシートは1万円程度から、高いものだと7万円程度します。
<埼玉県越生町の場合>
【制度の名称】幼児用補助装置(チャイルドシート)購入費助成
【補助金額】購入価格の2分の1を補助。1台につき1万円が上限
【要件】6歳未満の幼児をもつ保護者が安全基準に適合するチャイルドシートを購入
【申請方法】必要書類(領収書・品質保証書・運転免許証・自動車車検証・印鑑・振込口座)をそろえて申請
6. 電動自転車を購入する
電動アシスト自転車は、坂道や重い荷物をのせているときでも楽々運転することができるため、子育て世代やシニア世代の需要が高まっています。電動自転車が自動車への代替となれば、環境保全への貢献、健康の増進につながるため、自治体が電動自転車の購入を推し進める流れとなっています。
<群馬県桐生市の場合>
【制度の名称】電動アシスト自転車購入補助金
【補助金額】購入金額の4分の1(上限1万5,000円)※桐ペイポイントで交付
【対象者】運転免許(原付免許も可)を有する人または運転免許を返納後60日以内に電動アシスト自転車を購入した人
【補助対象】市内の店舗で購入したTSマーク付きの新品の電動アシスト自転車
【申請方法】申請書と必要書類を市役所に持参、または郵送
7. 子どもに習い事をさせる
子どもの学習塾やピアノ、水泳などの習い事の費用は年々高くなってきています。塾に行かせたい、習い事をさせたいけれど、家計に負担がかかることで諦めている保護者もいるでしょう。大阪市では、小学5年生~中学3年生を対象に、塾や習い事の費用を月1万円上限に助成しています。
東京都では学習塾の受講料などを上限20万円まで無利子で貸付する「東京都受験生チャレンジ支援貸付事業」を実施しています。一定の条件を満たすと返済免除となり、利用した人の99%が返済を免除されています。
<大阪府大阪市の場合>
【制度の名称】大阪市習い事・塾代助成事業
【助成金額】月額1万円を上限に助成
【対象者】大阪市内に居住している小学5年生~中学3年生を養育している人。2024年9月まで所得制限あり。10月からは所得制限撤廃予定
【対象事業者】この事業に登録された学習、文化、スポーツに関する指導を行う事業者
【申請方法】対象者に大阪市から申請の案内が届く。
8. 資格を取得する
就職やスキルアップのために資格を取るなら、「教育訓練給付制度」を活用するといいでしょう。厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した者に対して、その費用の一部が支給されます。
対象となる教育訓練は、介護福祉士、看護師、保育士などの「専門実践教育訓練」、大型自動車第一種・第二種免許、社会保険労務士などの「特定一般教育訓練」、TOEIC、簿記検定などの「一般教育訓練」の3種類があり、それぞれ給付率が異なります。
【制度の名称】教育訓練給付制度
【給付額】「専門実践教育訓練」は受講費用の50%(年間上限40万円)、「特定一般教育訓練」は40%(上限20万円)、「一般教育訓練」は20%(上限10万円)を支給
【給付条件】雇用保険の加入期間などの条件を満たすこと
【申請方法】居住地を管轄するハローワークで支給申請。電子申請も可能
9. 資格を取得して就職する
教育訓練給付制度を利用して、「専門実践教育訓練」を受けて資格取得をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者となる就職をした場合、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。この場合、支給額は受講費用の70%(年間上限56万円)となります。
なお、「専門実践教育訓練」の給付金を受けるためには、受講開始前に訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要があります。
【制度の名称】教育訓練給付制度
【給付額】受講費用の70%(年間上限56万円)
【給付条件】雇用保険の加入期間などの条件を満たし、「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける
【申請方法】追加給付を受けるためには、雇用された日の翌日から1か月以内に、管轄のハローワークで申請手続きをする
10. 地方で就職活動をする
地方就職を考えている主に東京圏・大阪圏に住む若年層に対して、各自治体が独自の就活支援を行っています。内容は「交通費補助」「奨学金返済免除・支援」「住宅・転居支援」「職業訓練」「就職・移住支援」などです。
【制度の名称】自治体別地方就活助成・支援制度
【助成内容】就職活動で要した交通費や宿泊費の助成など(自治体によってさまざま)
【要件】自治体ごとに異なる
【申請方法】自治体ごとに異なる
11. 婚活をする
結婚前のパートナー探しでも自治体の支援が受けられます。婚活支援事業として、婚活関連費用の一部を助成しています。
<北海道沼田町の場合>
【制度の名称】ライフパートナー探し応援事業
【助成額】6万円上限
【対象者】本町に住む結婚に対して前向きに取り組む意欲ある20歳以上の独身者
【対象経費】結婚相談所の入会金や年会費、婚活イベントの参加料や交通費など
【申請方法】申請書を提出
12. 市販薬を購入する
普段薬局で買っている風邪薬や頭痛薬なども、申請することで税金の控除を受けられます。
この制度を「セルフメディケーション税制」といいます。たとえば、課税所得400万円の人が年間5万円の市販薬を購入した場合、「セルフメディケーション税制」を活用することで税金が1万1,400円安くなります。医療費控除と併用はできないので、どちらがお得になるのか検討してから利用しましょう。
【制度の名称】セルフメディケーション税制
【減税額】購入金額、課税所得による
【対象者】所得税・住民税を納めている、かつ人間ドックなど健康のための「一定の取り組み」を受けていて、自身の健康増進や病気の予防に取り組んでいる人が対象
【対象品】「セルフメディケーション税控除対象」のロゴマークがある商品(一部表示がない対象品あり)
【申請方法】確定申告をする
13. 同窓会を開催する
同窓会を開催することで補助金がもらえる自治体があります。兵庫県淡路市では、ふるさと回帰のきっかけとして、同窓会などの開催にかかる費用の一部を補助しています。
<兵庫県淡路市の場合>
【制度の名称】ふるさと同窓会支援事業
【補助金額】市内からの出席者1名につき 1,000円、市外からの出席者1名につき 3,000円 (上限5万円)
【要件】市内の学校の卒業生であること。市内の飲食店で開催すること。15名以上の出席者(うち5名以上が市外の者)
【申請方法】同窓会開催日の14日前までに、まちづくり政策課に申請書を提出
14. 高齢者がスマホを購入する
65歳以上の高齢者が初めてスマートフォンを購入する場合に、購入費用の一部を補助する制度があります。自治体独自の制度ですが、実施している自治体は複数あるので、お住まいの市区町村に問い合わせてみるといいでしょう。
<東京都文京区の場合>
【制度の名称】シニア世代スマホデビュー応援補助金
【補助金額】購入費用に対し2万円が上限
【要件】スマホ端末を指定協力店舗で新規に購入(ガラケーからの買い替えを含む)した65歳以上の者
【申請方法】必要書類をそろえて高齢福祉課の窓口に持参、もしくは郵送で申請
15. 免許を返納する
高齢者が起こす交通事故が問題になっている中、免許返納を促す施策として、運転免許証を自主的に返納した高齢者に各自治体がさまざまな特典を与えています。多くは、バスやタクシーの利用券、地域の買い物券などですが、中には返納支援金として現金を交付する自治体もあります。
<群馬県榛東村の場合>
【制度の名称】運転免許証自主返納者支援事業
【支援内容】助成金 1万円か福祉タクシー券(1万5,000円分)のいずれか一つを交付
【対象者】65歳以上の運転免許所持者で、自主返納した人
【申請方法】運転免許証返納の手続きの終了後、役場で申請書の記入・提出
まとめ
ここで紹介した多くの制度の財源には、住民税や国からの支援金などが使われています。つまりは、我々が納めている税金が使われていると思えば、知らないことでお金を受け取っていないのはもったいない! 自治体のホームページには、さまざまな支援制度が掲載されているので、気になったらのぞいてみるといいでしょう。
※いずれの制度も期限や詳細要件は、各自治体ページにて確認をお願いします
石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら