現在海外の仕事に軸に活動し、ハリウッド大作にも出演している忽那汐里。『デッドプール2』(2018)でユキオ役を演じて世界的に注目を集めたが、7月24日公開のマーベル・スタジオ劇場公開最新作『デッドプール&ウルヴァリン』で再び同役を演じている。
『デッドプール&ウルヴァリン』は、映画史上最も破天荒なヒーロー、デッドプールとウルヴァリンの活躍を描くアクション・エンターテイメント超大作。不治の病を治療するために受けた人体実験で、自らの容姿と引き換えに不死身の肉体を手に入れた元傭兵のデッドプールことウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)が、世界の命運をかけた壮大なミッションに挑むことになり、驚異的な治癒能力と不死身の肉体を持つウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)とタッグを組んで世界を守るために暴れ回る。
忽那が演じたユキオは、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)のガールフレンドで、常にキュートな謎めいた暗殺者。ピンク髪が特徴的なキャラクターだ。
――『デッドプール&ウルヴァリン』への出演が決まった時のお気持ちから教えてください。
連絡が突然で、映画発表後に連絡をもらったので、思わぬボーナスサプライズみたいな感じで、とてもうれしかったです。
――本作の魅力をどのように感じていますか?
私もまだ完成した作品は見られていなくて、全貌は全くわからないです。プレミアで初めて見られると思うので、楽しみにしています。
――全体のストーリーがわからない中で演じるのは難しさがあるのでは?
「デッドプール」シリーズ以外はアメリカの作品でも台本をもらえているので、マーベルの作品に出演する時は別物だと考えています。セリフの意味もわからないことがありますが、そこは割り切って、知っている知識の中で自分のシーンを演じるようにしています。
――本作でのユキオを演じる際に意識したことを教えてください。
自分のペースで演じることを心がけました。予告でパーティーシーンがありますが、みんなとてつもなくキャラが強いので、埋もれてしまわないように、自分の役をしっかりと客観的に捉えて確実に演じることが重要だと思いました。
――ユキオをどのように捉えて演じられたのでしょうか。
ユキオはフレンドリーハッピーポジティブヒーローで、「デッドプール」シリーズには面白いキャラクターがたくさん登場しますが、ユキオのフレンドリーな雰囲気はほかのキャラクターとは決定的に違う魅力だと思うので、そこに全集中して演じました。
――再びユキオを演じられ、どんな気持ちになりましたか?
『デッドプール&ウルヴァリン』は楽しいシーンが多く、現場はとにかく楽しいです。役者さんたちは6年ぶりとか久しぶりに会う方がほとんどでしたが、リラックスした雰囲気でした。
――またユキオを演じているという喜びも感じましたか?
現場に入った瞬間からめちゃくちゃ感じました。セットも服装も派手で、現場の雰囲気がすごく独特なので、「また戻ってきたな」と。セキュリティーが厳しくて、移動中にルックがバレないように黒いケープを着させられるというのも普通の現場ではないので、「出たケープ(笑)」という感じ、一瞬で戻ることができました。
――ファンの方たちもまたユキオに会えるのを楽しみにしていますよね。
『デッドプール2』出演後、インスタグラムを通じていまだに「ハーイ! ユキオ」というコメントが途切れずに届いていて、ファンの方々が永遠に「ユキオ」と言ってくれているので、楽しみにしてくれているといいなと思います。
○マーベル作品の影響力に驚き「こんなに反響があるとは想像してなかった」
――大きな反響があったというユキオ役ですが、同シリーズ参加は役者人生においてどんな経験になっていますか?
ユキオはパートもそんなに多くなかったので、『デッドプール2』が公開された時は、こんなに反響があるとは想像していなくて驚きましたし、マーベルのファンの熱さを改めて感じました。
――ユキオ役を通してたくさんの海外の人たちに知られる存在に。
アメリカに行く時にイミグレ(入国審査)などで、『デッドプール2』に出演しているということがゴールデンパスというか、会話のきっかけになったり、そういう変化がすごくあったので、マーベル作品に出ることはすごいことなんだなと実感しました。それだけ影響力の大きい作品に出られたことはよかったなと思います。
――ユキオとご自身の共通点はありますか?
ポジティブなところが共通点だと思います。ユキオのようにあそこまでハイテンションではないですが、根のポジティブ具合は相当似ていると思います。
――ポジティブさが似ていると演じやすさも感じましたか?
あんなに声のトーンも変えて役作りに挑んだことはなかったですが、『デッドプール2』の時、すぐに「これでいこう」と思い浮かび、全部終わったときにプロデューサーが「イメージしていた通りに演じてくれてよかった」と言ってくれたので、勘が当たったのかなとは思います。
海外で経験重ね「タフに」 役者業に対する意識も変化
――2007年に女優デビューされてから17年経ち、国内外で活躍されていますが、今の役者業に対する思いをお聞かせください。ここ数年は日々変化があるくらい、私の人生の中でも特に変化の多い時期だと感じています。以前は「役者業は仕事」という感覚が強かったですが、最近は「芝居が人生」と思うようになり、プライベートで経験したことが芝居に密接に影響しているという感覚がすごく強いです。今は仕事という捉え方をしていなくて、自分の人生の経験の一部という感覚です。
――何か変わるきっかけがあったのでしょうか。
自分と向き合う時間が長くなっていったのかなと。去年、30代に入ってから考え方が変わってきた気がします。芝居を人生と捉えるようになって、今すごくいい状態でいられているので、これからが楽しみです。
――『デッドプール&ウルヴァリン』の現場で、『デッドプール2』の時と比べてご自身の変化を感じることはありましたか?
『デッドプール2』の時は、緊張したというより圧倒されていました。今までの現場と勝手が違い、セキュリティー面もそうですし、ライアン・レイノルズを目の前にすると存在感があり、ウェイドというエネルギーの強い役を目撃して圧倒され、そのまま終わった感じがあって。でも今回は、いろんな経験を経て戻ってきて、素の自分としてリラックスして現場にいられた感じがあり、それは大きな違いでした。
――アメリカの仕事に軸を置いてからの変化も改めてお聞かせください。
生活面での変化があまりにも大きくて、長期の撮影を経験すればするほど、タフになってきたなと感じています。アメリカの仕事に軸を置いているといっても、ハリウッド作品は毎回撮影する国が違って、その都度、全然違う国、文化、環境の中で生活をしていく感じで、毎年新しい場所で新しい学びがあります。
――14歳までオーストラリアのシドニーで住んでいた忽那さんでも、相当なチャレンジなわけですね。
海外に住んでいたと言っても、家族と住んでいたので。
――人としても役者としても成長を感じられそうですね。
一流のスタッフさんと仕事ができるというのは、とても恵まれているなと感じています。自分自身のパフォーマンスも変わりますし、みんなで異国で長期間撮影に挑んでいるからこそ、気持ちの面でも違うというか、すごく濃厚な現場を経験できているなと思います。そして、現場だけでなく人生としていろんなことを経験できていて、それが芝居の成長にもつながっていると思います。
○「日本人であることを前面に出して活動していけたら」
――逆に、海外に出たことで気づいた日本の良さはありますか?
ここ数年海外に出ている中で自分に起こった一番大きな変化は、日本人としての自分、日本人としての誇りがすごく強くなりました。以前は正直そういうものはなかったのですが、外国の文化にはない繊細さなど、日本ならではの魅力を感じるようになり、海外の現場に入ると、そこを前面に出してアピールするようになりました。
――今後の活動はどのように思い描いていますか?
今自分がこういうことを伝えたい、こういう作品に出会いたいと思うものを確実にやれるように、引き寄せていけたらいいなと思います。私たち役者は、自発的に企画を立ち上げない限りは、オーディションを受けて、巡り合わせで作品につながっていくので、なかなか自分の思い通りに行かないと思いがちですが、ちゃんとアンテナを張っていたら、自分がその時にやるべきものに巡り合えると思うので、そうなっていくようにやっていけたら思います。
――そして、日本人としての誇りを胸に、日本の良さを発信していきたいという思いが、これからの一つ大きな原動力になっていくのでしょうか。
そうですね。
■忽那汐里
1992年12月22日生まれ、オーストラリア出身。2006年、「第11回全日本国民的美少女コンテスト」で審査員特別賞を受賞。2007年、TBS系ドラマ『3年B組金八先生』の第8シリーズで女優デビューを果たした。その後、日本テレビ系ドラマ『家政婦のミタ』(2011年)などで注目を浴び、数々のドラマや映画に出演。2018年よりハリウッドに本格進出し、ユキオ役を演じた映画『デッドプール2』(18)が話題に。そのほか、近年の主な出演作は、映画『オー・ルーシー!』(18)、Netflix『アウトサイダー』(18)、『マーダー・ミステリー』(19)、『サンクチュアリ -聖域-』(23)など。
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