マイナ保険証が使えない人の対処法のほか、マイナ保険証に切り替える方法、マイナ保険証で受診する方法など、マイナ保険証の疑問・質問にお答えします。
「マイナ保険証」とは
「マイナ保険証」とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用することです。初回に利用登録をすることで、マイナンバーカードを使って医療機関を受診できます。
マイナンバーカードを健康保険証として利用する方法
【ステップ1】マイナンバーカードを申請・作成する
申請方法は3つあります。
1. パソコンやスマートフォンからオンラインで申請する
2. 郵便で申請する
3. まちなかの証明写真機から申請する
【ステップ2】マイナンバーカードを健康保険証として登録
利用登録の方法は3つあります。
医療機関・薬局の受付(カードリーダー)で行う
「マイナポータル」から行う
セブン銀行ATMから行う
【ステップ3】医療機関・薬局でマイナンバーカードを用いて受付
次の手順で受付ができます。
顔認証つきカードリーダーにマイナンバーカードを置く
本人認証を行う(顔認証・暗証番号)
各種情報提供の同意選択をする
マイナ保険証のメリット
従来の保険証を廃止して、マイナ保険証による医療機関等の受診を基本とした仕組みに変わる理由は、国や医療機関、利用者にメリットがあるからです。ここでは利用者のメリットを紹介します。
1. データに基づくより良い医療が受けられる
過去に処方された薬や検診結果などを口頭で正確に伝えるのはなかなか大変です。マイナ保険証で受付し、情報提供に同意すれば、過去に処方された薬や検診結果などを医師や薬剤師にスムーズに共有できるため、その人のデータに基づいた総合的な診断や重複する投薬を避けた適切な処方を受けることができます。
2. 手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
高額療養費の支給を受けるには、通常、医療機関や薬局の窓口で一旦全額を支払った後に、支給申請書を提出することで、自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。
3. マイナポータルで確定申告時に医療費控除が簡単にできる
通常、医療費控除を受けるためには、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告時に添付する必要があります。マイナンバーカードを健康保険証として利用登録をすると、マイナポータル(政府が運営するオンラインサービス)から保険医療を受けた記録が参照できるため、領収証を保管・提出する必要がなく、簡単に医療費控除申請の手続きができます。
これまでの保険証は使えなくなる?
マイナ保険証の登場で、これまで使っていた保険証は使えなくなるのか気になるところでしょう。結論からお伝えすると、現在お持ちの保険証は、記載されている有効期限まで使用できます。また、経過措置として、2024年12月2日時点で有効な健康保険証は、最長1年間(2025年12月1日まで)使用可能となります。
従来の保険証とマイナ保険証の両方を持っている場合は、どちらを利用しても問題ありません。
従来の保険証の有効期限が切れる前に、マイナ保険証に切り替えておきましょう。
「マイナ保険証」を持っていない人はどうなる?
マイナンバーカードを取得していない人、マイナンバーカードの保険証利用登録をしていない人は、保険証の発行元から送られてくる「資格確認書」が保険証の代わりとして利用できます。「資格確認書」を医療機関に提示すれば、これまでどおりの保険診療を受けることができます。
「資格確認書」は、原則、本人の申請に基づき保険証の発行元が速やかに交付します。
<申請なしで資格確認書が交付される人>
マイナンバーカードを取得していない人
マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない人
マイナンバーカードの健康保険証利用登録を解除した人
マイナンバーカードの電子証明書の更新を忘れた人
マイナンバーカードを返納した人
資格確認書の有効期間は、5年以内で、保険証の発行元が設定することなっています。
マイナ保険証への切り替えまでのスケジュール
政府は、マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行するにあたって、切り替わり期間中も問題なく運用できるように、以下のようなスケジュールを設定しています。
1. 健康保険証
2024年12月2日時点で有効な健康保険証は2025年12月1日まで利用できます。それ以降は使用できません。
2. マイナ保険証
今後はマイナ保険証での受診が基本となります。
3. 資格確認書
2024年12月2日以降使用可能となります。有効期限は5年以内に設定されます。
4. マイナポータル(スマホ)+マイナ保険証
カードリーダーがない医療機関を受診する場合は、マイナンバーカードで本人確認をした上で、スマートフォンでマイナポータルの「わたしの情報」を提示することで保険診療を受けることができます。2024年12月2日以降適用となります。
5. 資格情報のお知らせ+マイナ保険証
カードリーダーがない医療機関を受診する場合は、マイナンバーカードで本人確認をした上で、「資格情報のお知らせ」を提示することで保険診療を受けることができます。2024年12月2日以降適用となります。
※「資格情報のお知らせ」は、被保険者資格等の基本情報が記載されているもので、2024年12月2日以降、新規加入した人に送付されます。
「マイナ保険証」をなくしたらどうなる?
今までの保険証のように、今後マイナンバーカード(マイナ保険証)を持ち歩く機会が増えると思います。そこで気になるのが、「なくした場合にどうするのか」ということです。
万が一、落としたり、なくしたりした場合は、利用の一時停止の手続をします。24時間365日フリーダイヤルでカードの一時利用停止を受け付けています。
●マイナンバーカード総合窓口(0120-95-0178)
デジタル庁の説明によると、マイナンバーカードのICチップには、税や年金の情報、病歴等、プライバシー性の高い情報は記録されません。そのため、マイナンバーカードだけでは、それらの情報を引き出すことはできません。
万が一、マイナンバーカードを紛失し、カードを利用しようとする人がいたとしても、銀行のキャッシュカードと同様、暗証番号がなければ情報を引き出すことは不可能です。また、ICチップから不正に情報を読み出そうとした場合、自動的にICチップが壊れ、読み出せなくなる仕組みになっています。
不正利用はほぼ不可能ということですが、できれば、マイナンバーカードを持ち歩きたくないと思う人は多いでしょう。これについては、デジタル庁がマイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載できるよう、2025年春のリリースを目指して準備を進めています。将来的には、スマートフォンがあればマイナンバーカードの持ち歩きが不要となる運用となっていくでしょう。
石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら