11月28日に全国公開される岸井ゆきの、宮沢氷魚ダブル主演の映画『佐藤さんと佐藤さん』の特報映像が19日、公開された。

第32回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門でも上映された2020年公開の映画『ミセス・ノイズィ』で人間の機微を絶妙に描き、 監督としての手腕が注目されている天野千尋。
そんな彼女の最新作は、岸井ゆきの、宮沢氷魚をダブル主演に迎え、"夫婦"という誰にとっても人生において一度は考えるテーマを軸に、人と人との関係を丁寧にそしてヒリヒリするくらいリアルに描いたオリジナルストーリーだ。苗字が同じ"佐藤"であるサチとタモツの15年にわたる結婚生活を描き、交際、結婚、出産という人生の節目を経ながら、2人が積み重ねてきた時間と、その中で変化していく夫婦の関係に焦点を当てる。

今回公開された特報映像は、プロポーズのシーンからスタート。笑顔と優しさに包まれた瞬間も束の間、日常の些細な一言が夫婦喧嘩の導火線となる展開へと変わる。サチが「トイレットペーパーないよー」と声をかければ、タモツは「僕に買ってこいって命令してるの?」と応酬。脱ぎ捨てられた靴下を巡る言い争いは、感情のぶつかり合いに発展する。

家事、育児、仕事、夢。現代を生きる夫婦が抱える様々な負担がリアルに描かれ、その1つひとつが"あるある"として観る者の胸に刺さる本作。天野監督の手によって、笑いと切なさを絶妙に織り交ぜた表現は、「大好きなのに 愛しているのに ぐらっぐら」という言葉で象徴されるように、不安定で揺れ動く夫婦の姿を鮮やかに映し出す。そして、結婚や家族の在り方、一緒に生きるとは何かを問いかける。

【編集部MEMO】

天野千尋監督は、1982年7月30日生まれ。42歳。
愛知県出身。大学卒業後に会社員を経験後、2009年に映画製作をスタート。短編『さよならマフラー』で注目を集め、以降『チョッキン堪忍袋』や『フィガロの告白』などで数々の映画祭を受賞する。初オリジナル長編映画『ミセス・ノイズィ』では隣人との危うい関係という社会問題をシニカルな笑いで包み、ニューヨークジャパンカッツ観客賞、日本映画批評家大賞脚本賞を受賞した。
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